名古屋市生まれ。経済ジャーナリストおよび経営評論家、学習院女子大学客員教授。
緻密な現場取材に支えられた企業経営論、組織論、人事論には定評がある。
著書に、『ソニーの法則』(小学館文庫)『トヨタはいかにして「最強の社員」をつくったか』
(祥伝社)『本田宗一郎と知られざるその弟子たち』(講談社+α新書)など多数。
近著に『なぜザ・プレミアム・モルツはこんなに売れるのか?』(小学館)
『なぜ松下は変われたか』(祥伝社)『決断の法則』(小学館文庫)。
「日本の問題点は、いくらでも指摘できます。批判もできます。
しかし、それだけでは、この混迷を突破できません。将来のグランドデザインを描
いて、方向を示し、行動を起こす責任があります」
通産省退官後、コンサルタント会社「一柳アソシエイツ」を設立して10年余、一柳良雄さんは、いま、日本の現状に強い危機感を抱いています。この閉塞状況を打破すべく、「活力ある日本の経済社会の再構築」を視野に入れ、新たな出発を誓っています。
一柳さんは1946年、大阪で育ちました。東京大学教養学科国際関係論分科を卒業後、68年に通産省に入省し、宮沢喜一、田中角栄両通産大臣の秘書を務めたあと、ハーバード大学(ケネディスクール)に留学し、MPA(行政学修士)を取得しました。その後、国際エネルギー機関(IEA、在パリ)に勤務し、近畿通産局長、機械情報産業局次長、総務審議官などを歴任、98年、通産省を退官しました。
民間に身を投じた一柳さんは、通産省時代にベンチャー企業の旗振り役をしていたことから、99年、自分が生まれ育った大阪にボランティア団体「ベンチャーコミュニティー」を創設。2000年7月、コンサルタント会社「一柳アソシエイツ」を設立する一方、同年11月、ベンチャーを支援するエンジェル的組織「一流シーズマネーファンド」を立ち上げました。そして、大企業の経営戦略の構築や、ベンチャーと大企業の橋渡し役、さらに官出身を活かして政策規制コンサルタントの仕事も手がけています。
その傍ら、活動の範囲を次々と広げていきます。2000年以降、埼玉大学大学院と上武大学で客員教授を務め、大学教育に携わりました。06年、ラジオ大阪「一柳良雄の関西ビジネス進化論」、08年、毎日放送「一柳良雄の元気と知恵のビジネス」のパーソナリティーを務めたあと、08年からは、BSフジ「ネクストウェーブ 一柳良雄の志」や「一柳良雄の心粋」、10年からは、BS-TBS「ニッポンのみらい」のキャスターとして活躍するなど、ラジオ、テレビの世界にも進出しました。一柳さんは、何もタレントになるつもりで、メディアに出演しているわけではありません。日本の現場で何が起きているのか、また各界のリーダーは何を考えているのかを知るためです。現場の声に耳を傾け、社会が求めているのは何なのかを知ることにより、霞が関的目線から国民的目線へとシフトしたのです。
さらに、一柳さんの挑戦は続きます。
08年5月、若手経営者を育成する「一流塾」を開塾しました。そして、自ら塾長を務めています。塾の目的は、次世代をリードする「情熱」と「志」をもった経営者に、「人間力」「公の精神」「全体最適対応力」そして「グローバルな視点」を涵養する場と機会の提供です。「真の経営者に足りうる人材を輩出することによって、21世紀の日本経済に貢献するのが狙いです」と、一柳さんは語っています。座学にとどまらず、元財務大臣の塩川正十郎氏や、元通産次官の福川伸次氏ら尊敬する友人、知人など、〝本物の達人〟を講師として招き、人間観や経営哲学を体感し、もって、国際社会の一員として活躍できる人材の育成に務めています。既に120人の卒業生を送り出しています。
人材といえば、経営人材紹介事業も始めました。一柳さんのもつ人的ネットワークを駆使して、大手企業役員経営者、公的機関・国際機関の幹部経験者、公認会計士、弁護士などを、経営のよき相談相手として企業に紹介する事業です。
また、10年4月には、私的な勉強会を立ち上げました。「世界から尊敬される国、若者が夢を持つことのできる国、日本」にするために我々は「今、何をすべきか」という壮大な構想で展開しています。更に、10年12月からは、「公の精神」を持つ、そして志を一にし、横に繋がるコミュニティーの形成を目的に、30名以上の経営者からなる「一志会」を立ち上げています。
一柳さんは、自らについて「まだまだ進化の途中です」と語っています。大阪人特有のサービス精神たっぷりの一柳さんが、その魅力をますます発揮され、日本の新たな成長を支える基盤づくりに力を発揮されることを願ってやみません。
2011年4月吉日 記
片山 修
2008年6月30日 児玉正之 氏
2003年10月6日 木村政雄 氏