株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2016.12.01 更新

一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第103回勉強会を開催しました

 2016年11月24日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第103回勉強会の講師に、長岡技術科学大学大学院 李志東教授をお招きし、『中国のエネルギー事情:パリ協定後の低炭素・エネルギー総合対策の動向と中長期展望』とのテーマでお話しを頂きました。

李 志東 氏

李 志東 氏

 李先生は、中国人民大学を卒業後、京都大学で経済学の博士号を取得し、日本エネルギー経済研究所主任研究員を経て長岡技術科学大学に異動し、2007年から現職に就任しています。

 本年11月4日に発効したCOP21のパリ協定は、産業革命以降の気温上昇を2℃(出来れば1.5℃)以下に抑えることを長期目標にし、拘束力はないが全員参加で各国が自主目標を定め統一基準で5年毎にチェックすることになっています。

 はじめに、中国のCOP21への約束草案のポイントは以下の3点です。
① 国際社会が協力して気候変動に対処すべきという一般論に止まらず、温暖化防止を中国の持続可能な発展にとっての内的要求、責任ある大国が果たすべき責務として明記している。
② 長期目標として、GDP当たりCO2排出量(排出原単位)を2030年に2005年比60~65%削減し、一次エネルギー消費の非化石エネルギー比率を20%前後に引上げる等に加え、総排出量を出来る限り早い時期にピークアウトさせると表明している。
③ 更に、目標実現に必要な政策措置を15か条に細分化して明示し、目標は実現可能性を熟慮して設定されたものである。例えば、エネルギー構造の低炭素化に関しては、超過達成可能な風力発電や太陽光発電などについて数値目標を明記しているが、不確実性の高い原子力発電と水力発電については数値目標を設定していない。

 これらの目標実現に向けた取組みは、既に2011年3月の全人代で採択された「第12次5か年計画」で基本方針と具体的ロードマップが策定されており、2015年における主要目標は全て超過達成されている。新たに策定した「第13次5か年計画」でも今後一段と総合対策を強化して約束草案で表明した目標を達成するとしております。

 具体的には、全国統一のCO2排出枠取引市場を2017年に創設し、炭素税も最速で2021年から導入することを目指している。また、日韓と協力して「東アジア炭素取引市場」を是非作りたいと中国代表がCOP22で表明している。「一帯一路」経済圏構想でも、低炭素・エネルギー相互協力が謳われており、アジアインフラ投資銀行(AIIB)等の国際開発金融を通じて途上国中心に風力や太陽光発電事業並びに送配電施設整備に資金供給するなどの国際協力を進めるとしております。

 李講師からは日本との協力について、風力や太陽光発電での中国の価格優位性と日本の発電所施工保守や系統連系の優位性に相互に着目して「再エネ発電サービス」を一括して請け負うビジネスモデルを構築できないかとの提案があり、更に、今後EV中心に新世代自動車の充電方式でも、米欧中日の4つの国際基準の統一が避けられないので、出来れば他に先んじて日中での統一基準作りを進めたいとの提案もありました。
勉強会風景
 
懇親会風景 その後の質疑応答やワインを飲みながらの懇親会では、国際協力における民間レベルや地方自治体間の協力方策、EV自動車普及方策、或いはLNGのアジアプレミアムの解消などについて率直な意見交換で大いに盛り上がりました。出席者からは、「中国の改革の在り方や進展について良く理解出来て大いに参考になった。」、「李講師の日中のビジネス協力の提案について、政府間の協力にレベルアップできないか。」などの声が多くありました。


【李志東講師略歴】
国立大学法人 長岡技術科学大学大学院
情報・経営システム工学専攻 教授

 1983年、中国人民大学を卒業。1990年に京都大学で経済学の博士号を取得し、日本エネルギー経済研究所研究員、主任研究員、長岡技術科学大学助教授、准教授を経て、2007年から現職、兼日本エネルギー経済研究所客員研究員、中国発展改革委員会能源(エネルギー)研究所客員研究員、朝日新聞アジアネットワークフェロー。専門は低炭素経済論、エネルギー経済学、環境経済学、計量経済学。
 著作に、①李志東『中国の環境保護システム』東洋経済新報社、1999年4月;②李志東他(共著)『中国能源・環境研究文集』中国環境科学出版社、2000年5月;③薬師寺泰蔵編『アジアの環境文化』慶応大学出版会、1999年12月;④佐和隆光編著『21世紀の問題群:持続可能な発展への途』新曜社、2000年3月;⑤田辺靖雄「アジアエネルギーパートナーシップ」エネルギーフォーラム、2004年12月;⑥進藤榮一・平川均『東アジア共同体を設計する』日本経済評論社、2006年6月;⑦北川秀樹『中国の環境問題と法・政策』法律文化社、2008年3月;⑧薛進軍・他『低炭素経済藍皮書:中国低炭素経済発展報告2010』(中国)社会科学文献出版社、2011年3月;⑨渡辺利夫・21世紀政策研究所監修/朱炎編『中国経済の成長持続性:促進要因と抑制要因の分析』勁草書房、2011年7月;⑩青木玲子・浅子和美『効率と公正の経済分析:企業・開発・環境』ミネルヴァ書房2012年3月;⑪真家陽一編著『中国経済の実像とゆくえ』ジェトロ、2012年6月 及び論文等多数。