株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2017.03.03 更新

一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第105回勉強会を開催しました

 2017年2月21日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第105回勉強会の講師に、経済開発協力機構(OECD)事務次長 玉木林太郎様をお招きし、『低炭素経済への移行とビジネス』とのテーマでお話しを頂きました。玉木様は、パリOECD勤務が財務省時代を含め3回11年となり、この他世銀勤務や日本国大使館公使でワシントン6年の計17年間海外で活躍されています。

玉木 林太郎 氏

玉木 林太郎 氏

 はじめに、日本に戻ってきて経営者や政策決定に関わる方々と接触して、強く感じる欧米とのギャップについて、鋭い指摘がありました。以下の3点です。
・ジェンダー:一億総活躍等の名の下で労働力リソースのレベル
 でしか語っておらずに、最も大事な男女平等のテーマが欠落し
 ている。
・社会的不平等:格差と称して事態の深刻さを矮小化して、これ
 によって如何に社会を毀損しているか或いは経済成長を抑制し
 ているかとの認識が足りない。
・地球温暖化への対応:温暖化がどれくらいのマグニチュードで
 我々の社会・経済システムを変えてしまうかに対する認識のギ
 ャップが大きい。
 次に、現在の世界や日本経済の根底にはそのシステムを変革しようとする3つの大きな力が働いております。
・Degitalization(デジタル化)・Decarbonization(脱炭素)・Demographic Change(高齢化)であります。本日は脱炭素についてお話しします。
COP21のパリ協定では、今世紀後半に人為的な温室効果ガスの排出をネット・ゼロすることが謳われており、その為には排出の太宗を占めている化石燃料(石炭・石油・ガス)依存システムからの脱却が求められています。これまでの社会・経済システムの転換に伴うリスクと機会に着目する必要があります。これは中長期の展望や国別の道程もあるかもしれませんが、ことビジネスに関して言えば他国の企業の対応と無縁に日本でビジネス展開することは不可能です。温暖化が進むか否かについていまだに懐疑論が多いが、それに囚われてはいけません。国際的ビジネスは、サッサと先に行ってしまいます。温暖化を巡るタイムテーブルはかなり明確で、現在のモデルを延長するのではなく、将来(2050年、世紀後半)から逆算して考えることが大事です。

 最後に長期投資を支えるグリーン・ファイナンスについての説明がありました。保険会社や年金ファンド等の688機関(投資総額約5兆ドル)が、自らの長期戦略として喫損しないために、化石燃料への投資の一部又は全部からの引き上げを宣言しています。これらの資産は使えない資産(=座礁資産)と見做しています。環境に適合する使途に限定するグリーン・ボンド市場も拡大しており、しかもアップルや中国企業等のコーポレートセクターの発行が増えています。更にファイナンスとの関係で、ディスクロージャー規定の統一化を図ることを狙いに2015年末に民間主導のタスク・フォースが設置され、自主的かつ整合的な気候変動に関する企業の金融リスク情報を開示するためのガイドラインの最終報告が来月纏まります。
勉強会風景
 質疑応答の時間では、日本の石炭火力発電所新設とCCSや今後の原発への対応、それに伴う日本の環境対応への感度の低さ、一方では中国の地球温暖化や環境への対応の本気度、更には短期投資と長期投資のステークホールダーのせめぎ合い等々の意見交換で大いに盛り上がりました。

質疑応答の様子①

質疑応答の様子①

質疑応答の様子②

質疑応答の様子②

 その後のワインを飲みながらの懇親会では、出席者より、「ドイツのユーティリティ企業は、生き残りを掛けて再エネ発電部門と従来からの化石燃料発電部門とをそれぞれ分社化する意思決定をしていることに、驚かされた。」、「グローバルに活躍する玉木講師の知見を是非とも官僚や政治家が政策決定する際に大いに採り入れて欲しい。」などの声が多くありました。

懇親会風景①

懇親会風景①

懇親会風景②

懇親会風景②

 


【講師略歴】
玉木林太郎氏プロフィール玉木 林太郎(たまき りんたろう) 様 1953年 東京都出身

1976年3月 東京大学法学部 卒業

1976年4月 大蔵省入省 国際金融局国際機構課配属
1978年6月 経済協力開発機構(OECD)勤務
1983年7月 経済協力開発機構(OECD)勤務
1992年7月 財務省大臣官房秘書課財務官室長
2002年7月 外務省在アメリカ合衆国日本国大使館公使
2005年10月 財務省大臣官房審議官
2007年7月 財務省国際局長
2009年7月 財務省財務官
2011年8月 経済協力開発機構(OECD)事務次長