株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2017.03.13 更新

一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第106回勉強会を開催しました

 2017年3月8日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第106回勉強会の講師に、東京大学 先端科学技術研究センター 教授 森川博之様をお招きし、『IoTがビジネスを再定義する』とのテーマでお話しを頂きました。森川教授は、長く東大大学院工学系研究科で「ビッグデータ時代の情報ネットワーク社会はどうあるべきか、情報通信技術はどのように将来の社会を変えるのか」を研究テーマにされており、現在最も注目を集めているIoT(モノのインターネット)研究のトップランナーです。

森川 博之 氏

森川 博之 氏

 はじめに、一昨年からマスコミ等で話題になっているIoTを「アナログプロセスのデジタル化」と定義されました。IoTが出てきて、経営者の皆様がICTの役割を従来のコスト削減から価値創出へと考え方を変えて、デジタル化により組織や人事のあり方など全てを変える動きが出ています。IoTが出てきた背景は、クラウドやセンサ、無線などがこなれて来てそれなりのコストで多くの人が使えるようになったのが大きなポイントです。
スポーツの世界でデジタルが入り始めています。アメフト、バスケット、サッカーなどの選手の動きをデジタル化して若年層のファンを増やし視聴率増に繋げ放映権料が上がっています。
 この15年間データを集めることによって価値を生み出す「データ駆動型経済」が浸透しています。従来は、「コンテンツ」を集める機構=ソーシャル化、「行動情報」を集める機構=個人化で、グーグル、フェイスブック、ツイッターなどがプラットフォームビジネスを展開してきています。これからの新しい動きとして、リアルなデータの「モノの情報」を集める機構=スマート化のIoTの競争が始まっています。この動きの端緒として、3年前にグーグルが家の中のデータを集めることを狙いにサーモスタットのメーカーを32億ドルで買収したことには驚かされたとのことです。
次に、デジタル化の社会に向けて考えなければならないポイントを5点指摘されました。
① 物理的資産のデジタル化と再定義
物理的資産をデジタル化するのがIoTです。シェアリングエコノミーはIoTの典型ですが、古くは航空機の座席予約システムであり、最近では車のデジタル化がウーバーで、部屋をデジタル化したのがAirbnbです。現在デジタル化されていない物的資産を見つけることが新しい価値を生み出す新規事業展開のポイントになります。
デジタル化が進むと色々考え直し再定義しなければなくなります。例えば、事業立地の再定義として:モノの販売⇒サービス、製品企画/研究開発/組織の再定義として:一方向⇒双方向などです。
② 汎用技術
マクロの視点ですが、汎用技術とは、全ての産業セグメントに影響を与えるテクノロジのことを言います。産業革命期の蒸気機関と同じくこれからの変革期にICTが汎用技術になり得ます。
③ 海兵隊とCTB
現在IoTを推進するには、コンパクトな組織で死亡率の高い海兵隊との意識での強い想いを持った改革派による新規事業発掘が求められます。金融界でのIOTであるフィンテックは、CTB(Change the Bank)の推進であります。
④ インベンション(技術)とイノベーション(顧客)
IT業界は、従来技術開発主体でやってきたが、これからは人々が集まる「場」づくりの仕組み作りのイノベーションにリソースを多く配分しなければなりません。
⑤ デザイン思考
従来技術者に必要とされた能力は、「考える」と「試す」でありましたが、これからは、より周辺の「気づく」と「伝える」能力が必要とされます。
なお、エネルギー業界の変化についてのコメントとして以下の諸点が指摘されました。
・集中から自立分散、・一方向から双方向、・計画経済から市場経済、・固定サービスから多様なサービスへ、
・単一参加者から多様な参加者へ、・垂直型から水平型へ、・制御系から複雑系へ、・消費者からプロシューマーへ
更に、エネルギー業界はデータが圧倒的に少ないので、今後データをもっと集めれば、お金が集まる流れが出来て事業構造が大きく変わる可能性があるとの指摘がありました。
勉強会風景

懇親会風景

懇親会風景

 質疑応答では、「日本人のビジネスや大学における創造性の認識」、「地方の可能性における地銀や自治体の役割」、「具体的なガス会社のガスボンベのデジタル化の取組み」などの意見交換で大いに盛り上がりました。
 その後のワインを飲みながらの懇親会では、出席者より「経営者のマインドセットをする上での色々な課題を頂き有難かった。」、「グーグルが32億ドルでサーモスタットメーカーを買収など、グローバル企業のイノベーションへの取組みには驚かされる。」などの声が多くありました。

 


【講師略歴】
森川博之プロフィール森川 博之(もりかわ ひろゆき) 様 1965年 千葉県出身
1987年 東京大学工学部電子工学科 卒業
1992年 東京大学大学院博士課程修了 工学博士
2006年 東京大学大学院工学系研究科 教授
2007年 東京大学先端科学技術研究センター 教授
モノのインターネット/M2M/ビッグデータ,センサネットワーク,
無線通信システム,情報社会デザインなどの研究開発に従事。
電子情報通信学会論文賞(3回),情報処理学会論文賞,情報通信学会論文賞,
ドコモモバイルサイエンス賞,総務大臣表彰,志田林三郎賞,情報通信功績賞など受賞。
OECDデジタル経済政策委員会(CDEP)副議長,新世代M2Mコンソーシアム会長等。
総務省情報通信審議会委員,国土交通省研究開発審議会委員,文部科学省科学技術・学術審議会専門委員等。