株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2017.05.22 更新

一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第107回勉強会を開催しました

竹村 公太郎 氏

竹村 公太郎 氏

 2017年5月17日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第107回勉強会の講師に、日本水フォーラム 事務局長 竹村公太郎様をお招きし、『日本文明とエネルギー‐既存ダムの活用による水力発電‐』とのテーマでお話しを頂きました。竹村様は、建設省に入省され、三つのダム建設に携わっており、ダム建設並びに水力発電所に関するオーソリティであります。昨年9月に刊行された著書『水力発電が日本を救う』は、特に政策立案関係者の間で大いに反響を呼んでいます。

 はじめに、世界や日本の各地における文明に関して、エネルギーは命を育む必需品であるとのお話がありました。日本の奈良、平安時代から江戸時代を通して、森林や湖沼河川等の地形に基づく独自の見解を示されました。即ち、住民のエネルギー供給源となる周囲の森林から伐採する木材を求めて都が移動したとの説明がありました。その証拠として、近畿から関東を中心に、殆どの山々はハゲ山になっていた浮世絵や写真の披露がありました。
更に、明治、大正、昭和時代では、石炭や石油を求めて大戦が起こされたとのことです。

勉強会風景

勉強会風景

 続いて、限界が見えてきた化石エネルギーについての説明がありました。巨大油田の発見は1960、70年代をピークに大幅に減少してきています。米国EIA(米エネルギー省エネルギー情報局)によるピークオイルシナリオでは、遅くとも2050年までにピークを迎え、その後は石油価格の高騰が予想されます。今こそ、100年後を展望して何らかの行動を起こすべきであると強調しました。
 そこで、人類のエネルギーは、単位当たり面積の濃度は薄いが、無限で膨大な太陽エネルギーを如何に使って行くかが、これからのテーマになります。地質学者でもありますグラハム・ベルは、明治時代に日本に来て、海水蒸発による雲からの雨水などの水の大循環を捉えて「日本はエネルギーの塊である」と話しています。但し、日本列島の弱点は、滝のような川であることです。山で降った雨は、1日で海に戻ってしまいます。そこで、ダムを造って水を貯めなければなりません。
 日本の水力発電の特色は、以下の通りです。
気象:アジアモンスーンの北限、地理:海に囲まれている、地形:70%の山地が雨を貯める装置、社会:平等な脊梁山脈、装置:ダムは太陽エネルギーの貯蔵庫
 今後の方策として、もう新規の巨大ダムの建設は無理であります。既存ダムに対する具体策は以下の4点です。
①すべてのダムに発電機を設置
②ダム運用における治水容量の弾力運用
③ダムの嵩上げ
④下流に時間調整の小ダムの建設
であります。以上のように、既存ダムは、大きなポテンシャルを持っていることを覚えておいて欲しいと、最後に力説されました。

懇親会風景

懇親会風景

 質疑応答では、「小水力発電の可能性」、「日本の電力自給率」「日本の水力発電の効率の低さ」或いは「世界のダム建設の動向」等々について、率直な意見交換があり、大いに盛り上がりました。
 その後のワインを飲みながらの懇親会では、出席者より「今後の化石エネルギーの高騰に備えて、既存ダムの活用は、全国各地の分散型エネルギー供給の為に、大いに進めて欲しい。」或いは「既存ダムは、日本の宝であると再認識した。エネルギー自給率向上に、役立ててほ
                          しい。」などの声が多くありました。


【講師プロフィール】
竹村公太郎氏プロフィール竹村 公太郎 様(昭和20年生まれ・神奈川県出身)

公益財団法人 リバーフロント研究所 研究参与
特定非営利活動法人 日本水フォーラム代表理事・事務局長
東北大学非常勤講師、首都大学東京客員教授 博士(工学)
(略歴)
1945年生まれ。1948年東北大学工学部土木工学科卒、1970年修士修了後、建設省に入省。宮ヶ瀬ダム工事事務所、中部地方建設局河川部長、河川局開発課長、近畿地方建設局長を経て国土交通省河川局長。2002年に退官後、2004年よりリバーフロント研究所代表理事(2012年4月組織名称等変更)。2014年より現職。
(主要論文)
著書:「日本文明の謎を解く」(清流出版2003年)、「土地の文明」(PHP研究所2005年)、
「幸運な文明」(PHP研究所2007年)、「小水力エネルギー読本」(オーム社:共著2006年)、
「本質を見抜く力」(PHP新書2008年)、「水力発電が日本を救う」(東洋経済新報社)など多数。