株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2017.07.23 更新

一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第108回勉強会を開催しました

田中 伸男 氏

田中 伸男 氏

 2017年7月19日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第108回勉強会の講師に、元国際エネルギー機関(IEA)事務局長並びに公益財団法人笹川平和財団会長 田中伸男様をお招きし、『嵐の中のエネルギー戦略』とのテーマでお話しを頂きました。
 田中様は、一柳代表もかつて勤務していた国際エネルギー機関(IEA)の事務局長を2011年まで4年間務め、その後日本エネルギー経済研究所特別顧問などを歴任されました。2015年に笹川平和財団理事長に就任され、現在同財団会長です。世界のキーマンとの意見交換に各国を訪問しつつ、エネルギー問題全般について精力的に講演活動等をされています。

 はじめに、今後の石油価格の見通しに関し「バレル50ドル程度の価格が2020年代まで続く」との2015年のIEAの低石油価格シナリオの説明がありました。その前提は以下の5点です。・需要サイドの増加はマイルドへ・シェールオイルの生産の伸びが続く・OPECはシェア重視が続く・再エネ対応の各国政策は不変・中東での戦争は起きない、等々です。

勉強会風景

勉強会風景

田中講師の石油価格の見通しも、同じく50ドル内外の価格が暫く続くとみています。
 但し、米国トランプ大統領が、オバマレガシーを全て壊したいとの方針にあることが、異次元の不確実性であり、その最大の懸念はイランに対する経済制裁解除と核合意を壊すのではないかという点であります。その背景には、米国のシェール革命による地政学的変化により、エネルギー自立を実現する米国の一人勝ちがあります。

 続いて、本年6月にIEAが発表した「エネルギー技術見通し」に触れました。今回初めて、昨年のIPPCのパリ協定で掲げられた気温上昇見通しの1.5℃以内という「二度超シナリオ」について、どこまで技術革新でCO2削減が可能かと論じられています。このエネルギー革命を呼ぶ可能性のある開発技術のポイントは次の4つで、太陽光発電、洋上風力発電、バッテリー、電気自動車であります。その為には、それぞれのクリーンテクノロジーを十分活用し、現状比大幅に伸ばす政策努力が求められます。

 次に、持続可能性と原子力の役割についてのお話がありました。
世界レベルでの見方として、原子力技術を持つか否かが、一流国と二流国を分けるメルクマールとなります。原発を持つか持たないかの二項対立でなく、第三の選択肢を提供しようとの提案をされています。それは、統合型高速炉、乾式再処理、福島第一原発のデブリ処理を合わせた、「デブリ焼却炉としての統合型高速炉」を福島に建設しようと云うものであります。これにより、原子力に対する国民の信頼を復活させたいと考えています。
更に、米国での長年の実績により安全管理が徹底されている原子力潜水艦を5隻程度日本が保有する選択肢も真剣に検討したいとの提案がありました。

 質疑応答では、「サウジの水素プロジェクトの今後の展開」、「環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮している企業を選別して行うESG投資と社内カーボンレートの存否」、「日本が推進している石炭火力発電への疑問」或いは「LNG中心のエネルギーミックス」等々について、率直な意見交換があり、大いに盛り上がりました。

懇親会風景

懇親会風景

 その後のワインを飲みながらの懇親会では、出席者からは「原子力に関して世界における日本の立ち位置が良く理解出来た。福島でのデブリ焼却炉としての新型原発を是非実現して欲しい。」或いは「原子力について漠然と無くても良いと考えていたが、今後はその必要性を自分事として真剣に考えていきたい。」などの声が多くありました。

 


田中 伸男 プロフィール用【講師略歴】
田中伸男 様(たなかのぶお)
職 歴:
2016/12-   笹川平和財団 会長
2015-2016  笹川平和財団 理事長
2013/4-    東京大学公共政策大学院 教授、客員教授(2015/4-)
2011-2015  日本エネルギー経済研究所 特別顧問
2007-2011  国際エネルギー機関(IEA)事務局長
2004-2007  経済協力開発機構(OECD)科学技術産業局長
2002-2004  通商政策局通商機構部長
2000-2002  経済産業研究所副所長
1998-2000  外務省在アメリカ合衆国日本大使館公使
1997-1998  通商政策局総務課長
1995-1997  産業政策局産業資金課長
1991-1995  経済協力開発機構科学技術工業局長
1989-1991  経済協力開発機構科学技術工業局次長
1987-1989  資源エネルギー庁企画官
1986-1987  大臣官房秘書課長補佐
1973      通商産業省入省

学 歴:
1979  アメリカ・ケースウエスタンリザーブ大学経営大学院(MBA)
1972  東京大学経済学部経済学科
1971  アイセック日本委員会委員長