株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2018.03.14 更新

一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第112回勉強会を開催しました

松山 泰浩 氏

松山 泰浩 氏

 2018年3月8日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第112回勉強会の講師に、経済産業省資源エネルギー庁 長官官房総務課長 松山泰浩様をお招きし、『エネルギー政策をめぐる現状と課題-基本政策分科会及びエネルギー情勢懇談会での検討状況』とのテーマでお話しいただきました。松山様は、1992年に通商産業省に入省され、ここ8年間はエネルギー分野の要職を歴任されています。

 はじめに、現在の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会での「エネルギー基本計画」の検討です。7年前の3.11までの我が国の電源構成は、原子力・石油ガス・石炭各3割、水力1割でした。第1段階の2030年までのエネルギーミックスの目標は、3.11の教訓を踏まえ3E+Sを基本にしつつ、化石に頼らない4割(原子力+水力)の電源を持続性と経済性をバランスさせて如何に取り戻すかであります。具体的アプローチは、徹底した省エネ、再エネの最大限の導入拡大、原発依存度の低減、電力コスト抑制等であります。

 続いて、再生可能エネルギーです。よくぞここまで来たなとの感想を持っていますが、今後コスト面で競争的にしながら目標達成を実現することはなかなか難しい課題です。再エネの浸透は、経済性コストと系統を含めたシステムインフラ整備並びに社会的受容性の国民意識の向上の3つの要素が実現して初めて確立されます。再エネ産業が、2030年以降のFIT支援がなくなった段階でも、エネルギー産業として育成されることが重要な課題であります。

 次に、原子力です。稼動中は5基であり、30年ミックスの目標である22~20%は、30基稼働で達成します。1基稼働により、燃料コストは年間350~630億円削減され、CO2は年間260~490万トン削減されます。原子力は、未来に向けた重要な選択肢の一つであります。最大の課題は、社会的信頼の回復であり、安全最優先の再稼働や廃炉を着実に実施するため、高度専門人材の確保や技術開発並びに投資の促進が必要であります。

 更に、電力システム改革です。この改革を貫徹するため、更なる競争活性化に向けた施策と自由化の下でも公益的な課題に対応するための施策を検討し、一体的に提示しています。特に、最適な容量メカニズムの導入について、我が国は遅れて参入しているので、各国の実例を参考にして制度設計を進めていきます。

 最後に、エネルギー情勢懇談会のテーマであります2030年からの第2段階のパリ協定2050年目標です。2050年温室効果ガス80%削減は日本の大きな方針であり、2050年へ向けたエネルギーを取り巻く世界の情勢を見極める必要があります。地球のためだけでなく国益と重なるビジネスゲームを勝ち抜く未来づくりのため、技術革新・人材投資・海外貢献で世界をリードできる国、制度、産業としての総合戦略を構想していきます。
講義風景

 質疑応答では、「大学や研究所の基礎研究の弱さ」、「原子力発電事業は民間で担えるか」、「エネルギーのグローバルネットワークのあり方」、「地球環境エコロジー」等々についての率直な議論で大いに盛り上がりました。
 その後、ワインを飲みながらの懇談会に移りました。出席者からは、「実際に体験して構築したグローバルネットワークを有して、なおかつご自身の意見をこれだけ明確に表明する官僚に久し振りにお会いして、大変心強く感じた。」或いは「エネルギーを巡るグローバルな現況と日本の課題がよく理解出来た。これからは自社の経営課題のみならず次世代に対し自分も何がやれるか大いに考えていきたい。」などの声が多く有りました。


【松山泰浩講師略歴】
松山 泰浩 氏 プロフィール用1992年、東京大学法学部を卒業、同年通商産業省(当時)入省。
環境・エネルギー政策のほか、通商政策(FTA)、産業人材政策、IT推進行政等の各種政策企画・実施を担当。
2009年より3年間、ジェトロ・ロンドン産業調査員として英国に駐在し、再生可能エネルギーを含む欧州・中東のエネルギー調査活動を担当。
帰国後、石油・天然ガス課長、経済産業大臣秘書官、新エネルギー課長等を経て、2017年7月より現職(資源エネルギー庁長官官房総務課長)。