株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2018.07.26 更新

一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第114回勉強会を開催しました

一柳挨拶 2018年7月19日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第114回勉強会を開催しました。今回は研究会会員企業のSBパワーマネジメント㈱三輪社長から紹介を頂き、韓国電力公社(KEPCO)日本支社長尹永基様と中国国家電網公司日本事務所主幹袁玉湘様から、それぞれ両国の電気事業の概要やエネルギー政策の展望更にはグローバルなスーパーグリッド構想の展開などについてお話しを頂きました。
 

 先ず、KEPCO尹永基様が、テーマ『韓国電力産業と隣国との電力連系』にて説明されました。同国の電気事業は、2001年に経済構造改革の一環として電力自由化が実施され、KEPCOの発電部門は6社に分割・子会社化され、残りの送電、配電及び供給部門はKEPCO本体が引き続き保有することになりました。また、卸電力市場が創設され、独立系発電事業者(IPP)が参入しました。電気料金は、政府が産業政策の観点から値上げ幅を抑えているため低い水準となっております。産業用は日本より約70%割安で、日本企業が炭素繊維工場やデータセンターを韓国内に設置しているケースもあるとのことです。

 続いて、昨年5月に成立した文政権の3つのエネルギー政策の説明がありました。
① 選挙マニフェストで原発反対を唱えていたこともあり、原発を新設・増設せずに縮小します。
② CO2及びPM2.5問題で石炭火力発電を抑制する目的のため、操業30年以上の老朽発電所を
 早期に解体すると共に工事進捗率10%未満の建設中火力発電所を再検討することにしています。
③ 2030年までに洋上風力発電を中心に再生エネルギー発電量の割合を20%にします。

 次に、今後の経済制裁解除後の北朝鮮への電力支援の説明がありました。現状の北朝鮮での電力供給を受けられる人口の割合は39%に留まっており、一般的には暖房、炊事、照明用の電力使用が困難です。なお、電力の75%が水力発電により供給されています。韓国政府の支援策は、短期的には太陽光・風力等再生エネルギー中心の分散型電源の開発支援と送配電網の改善と共に既存火力・水力発電所の補修及び効率向上の支援が主なものです。

 最後に、アジアスーパーグリッドの推進についての話しがありました。第8次電力需給基本計画(2017-2031)にて、周辺国との予備力の共有を通じ「Grid Island」という孤立系統の地理的限界を克服する方策として推進し、2022年までに一部区間着工、韓国-ロシア間共同研究完了を目標として関連手続きを迅速に推進します。

 中国国家電網公司袁玉湘様から、テーマ『持続可能な発展への取組み』にて、お話し頂きました。先ず初めに、持続的発展のための2つの戦略です。エネルギー消費世界一位となった中国のエネルギー資源戦略と環境汚染への戦略です。2014年に習近平国家主席は、中国は2030年頃にCO2排出のピークを迎えると宣言しました。2015年李克強総理は、単位GDP、CO2炭素排出は2030年には2005年を基準として60~65%低下すると宣言しました。

 具体的政策としては、クリーンエネルギーへの代替と石炭石油の燃焼から電化への代替です。クリーンエネルギーへの代替策は、火力発電から水力・風力・太陽光・原発を増やすことです。水力は海水揚力を含め揚水発電の増加、風力は大型洋上風力の増加、太陽光は設備価格の低下による設置増加を目指します。原発は3.11の福島事故を踏まえ、本年本格稼働した第3世代型原発の運用状況を見定めて内陸部での建設を含めて検討していきます。更に、遠距離高圧送電、大規模蓄電、エネルギー市場メカニズム整備等の取組みを組み合わせて再エネ導入を推進します。電化への代替策は、電気暖房の推進とEV等の緑の交通システムの推進です。EV用充電スタンドは高速道路沿いの設置を優先します。

 次に、グローバルエネルギーコネクションの提案です。2015年に「持続可能な開発のための目標(SDGs)」が定められた国連サミットの場で、習国家主席が提唱されたGEI(Global Energy Interconnection)の中での、アジアネットワークを含み2070年には北極圏のネットワークを目指す壮大な構想です。中国・韓国・日本の3国プロジェクトについて、フィジビリティスタディをスタートするには政府承認を必要としますが、同社は今来月中に申請を提出する予定とのことです。

 質疑応答では、「中国のグローバルネットワーク構築の際の高圧直流電送の活用」、「韓国の電力自由化の経緯」、「中国の今後の原発建設の方針」などについての率直な意見交換で大いに盛り上がりました。
 お二人の講師も参加されたワインを飲みながらの懇談会では、「中韓両国の電力関係者から、これだけの現況報告と今後の課題など生の声を聴くことが出来大いに参考になった。」、「韓国・日本を含めた中国のグローバルネットワークでは、北極圏を取込む大きな構想となっており驚いたが、是非とも中韓日構想の具体化が進むことを期待する。」などの声が多くありました。
講演風景講演風景-02


尹 永基 氏

尹 永基 氏

【尹永基講師ご略歴】
尹永基(ユン・ヨンギ)
韓国電力公社  日本支社長
(経歴)
2017年     日本支社長
2015年     再生可能エネルギー開発部長
2012年     IPP事業開発部長
2009年     ヨルダン Al Qatranaガス発電事業 契約担当
1986年     韓国電力公社入社
(学歴)
1996年     高麗大学行政学科卒
2015年     Stony Brook University 技術経営修士

袁 玉湘 氏

袁 玉湘 氏

【袁玉湘講師ご略歴】
袁玉湘(ユエン・ユーシャン)
中国国家電網公司日本事務所 主幹。
2010年慶應義塾大学電子工学科総合デザイン専攻博士課程修了後、特別助教を務めた。
2011年中国国家電網公司下の中国電力科学研究所に入社、スマートグリッド通信
システム及び機器開発に従事。2014年より、現職。主に電力システム改革、電力市場、
スマートグリッド技術などの領域で経験を積む。