株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2018.11.27 更新

一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第116回勉強会を開催しました

木下 肇 氏

木下 肇 氏

 2018年11月21日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第116回勉強会に、リチウムイオン電池の研究開発で20年間最先端を走る㈱KRI取締役常務執行役員 エネルギー変換研究部長 木下肇講師をお招きし、『リチウムイオン電池のトレンドと将来』とのテーマでお話しを頂きました。

 はじめに現況の説明がありました。リチウムイオン電池は、エネルギー密度が高く大きなパワーが得られ寿命が長く、世界中で普及するにつれて低価格化が進んでいます。全世界での2016年の2兆円の出荷額が、今後とも車載用中心の伸びが大きく2021年4兆円、2026年10兆円に上るものと見込まれています。開発者であります吉野彰先生は、近年ノーベル賞に一番近い1人であると言われております。

 続いてこの電池のこれまでの開発の苦労話や今後の課題について言及されました。
2006年頃にソニーなどの携帯電話向けのバッテリーに、リチウムイオン電池の製造過程の問題により発火や異常加熱で多数のリコールが発生しました。その後も最近までスマホやPC並びにEVの電池についての問題が発生しています。この事態については、気温0℃~25℃の通常の使用環境で一番劣化が進むという課題があり、急速充電による劣化で車載用電池が3,4年で寿命を迎えることも発生しています。これらの対策として、電池状態(SOH)を把握しそれに応じたシステム制御を実施し寿命向上や安全性確保を図ることが求められ、更に、AI活用によるベストな充電方法を周知徹底することも望まれています。

 IT革命が始まって20年、既に次の大きな革命が始まっています。今後2030年頃を展望すると、蓄電技術の発展は、エネルギーシステムに大きな変革をもたらします。それがET革命(Environment & Energy)で、克服すべき課題も多くありますが、原理的にエネルギー密度が高いリチウムイオン電池に対するする社会からの期待は大きいと、話を結びました。

 質疑応答では、「電池の発火事故や膨張事故に対する対応」、「リサイクルの可能性」、「電池寿命を延ばす対策」などについての率直な意見交換で大いに盛り上がりました。
 今回の出席者からは、「リチウムイオン電池は、すべての産業セグメントに影響を与える汎用技術であり、今後とも大いなる性能並びに安全性向上を期待したい。」或いは「スマホの電池寿命を延ばす方策として、既にパソコンが採用しているフル充電でなく80%充電で留める手法を初めて教えて貰ったが、早速実行したい。」などの声が有りました。

2018.11.21会議風景
 


木下肇プロフィール【木下肇講師略歴】

【学位】 学士(京都大学)
【所属】 株式会社KRI
【役職】 取締役 常務執行役員 エネルギー変換研究部長
【専門】 導電性高分子、電池・キャパシタ

【略歴】
1985年3月    京都大学工学部合成化学科卒業
1985年~1997年 鐘紡㈱にてポリアセン電池の基礎・応用研究・市場調査/開発に従事
1993年      ポリアセン電池の研究開発及び工業化に関し高分子学会賞
1997年~     ㈱KRIにて蓄電デバイスに関する研究開発などに従事。これまで約200社以上からの委託を受け、リチウムイオン電池・リチウムイオンキャパシタ関連材料の研究開発、蓄電材料・デバイスの抵抗・寿命評価・解析、コンサルティング等を担当。
2006年10月  同社 エネルギー変換研究部長
2011年7月  同社 理事
2013年4月  同社 執行役員 エネルギー変換研究部長
2015年4月  同社 常務執行役員 エネルギー変換研究部長
2018年4月  同社 取締役 常務執行役員 エネルギー変換研究部長

【受賞】
1993年(平成6年) 高分子学会賞

【学会】
電気化学会関西支部 副支部長
電気化学会 電池技術委員会 委員
炭素材料学会 会員
高分子学会 会員
Electrochemistry 編集委員