株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2019.01.28 更新

一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第117回勉強会を開催しました

 2019年1月22日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第117回勉強会を開催しました。今回は3名の講師に登壇頂きました。東京電力ホールディングス㈱ 経営技術戦略研究所 経営戦略調査室長 チーフエコノミスト 戸田直樹様、㈱とっとり市民電力 取締役部長 大谷保雄様、㈱東急パワーサプライ 代表取締役社長 村井健二様の方々です。モデレーターは当研究会幹事の嶋津八生様が担当されました。

戸田 直樹 氏

戸田 直樹 氏

 東京電力HD㈱の戸田室長からは、「2050年に向けたエネルギービジネスの変革Utility3.0」との2017年9月に刊行された著書と同名のテーマでお話し頂きました。
まず、電気固有の商品特性に着目し、①貯蔵が難しく、需要と同量の供給が常に行われている必要があり、②需給のバランスが崩れた時の社会的影響が大きく最悪の場合には広範囲の停電により市場が崩壊するとの説明がありました。
次に、電気事業の変遷について、Utilty1.0 では法的独占により垂直統合して規模の経済性を追求し、投資拡大により高度経済成長を支えました。Utilty2.0では低成長経済へ移行し、発電・小売の競争によるスリム化という自由化を現在経験中で、一方で発送電分離によりネットワークの競争中立が保たれています。今後は、分散化・脱炭素化・人口減少・デジタル化+電力市場のリパワリング(低炭素電力システムへの移行期における市場設計と規制)等により、Utility3.0では次のような変革が起ると話されました。
・発電ビジネス:長期的には低炭素エネルギーが潤沢に供給されるようになりますが、他方持続可能性の課題が大きくなります。
・小売ビジネス:モノとして電気を売るビジネスは、電気機器をインターフェイスとしてユーザーイクスペリエンス(UX)を売るビジネスにシフトし、従来型の電力を売るビジネスは、UXコーディネーターへのコモディティ供給として存続されます。
・送配電ビジネス:人口減少はインフラ共通の存続性に関わる問題であり、送配電インフラも新たなる統合に向かうものと思われます。

大谷 保雄 氏

大谷 保雄 氏

 ㈱とっとり市民電力の大谷取締役からは、「我が社の電力・ガス自由化への営業戦略」とのテーマでお話し頂きました。鳥取ガスグループは、2018年に創業100周年を迎え、ブランド名称「enetopia(エネトピア)」として新たなスタートを切りました。創業者の想いを具現化すべく、2015年時に、コアのガス事業と共に電力事業へ参入することで総合エネルギー企業となりお客様のコスト低下やサービス向上を実現しようと構想しました。
人口減少や企業撤退などの危機感を共有する自治体の資本参加を得て、電源として公共施設の電力需要カーブに適したメガソーラーを2016年に稼働させ、続いて24時間発電可能なベース型電源として下水処理場の消化ガスを用いたバイオマス発電所を2017年に稼働させました。業況は、黒字経営を続けており、家庭のエネルギー消費はますます電化へシフトしていくと想定され、電力事業の確立は避けて通れないので、今後も中期目標の確立に邁進し、合わせサービスやエリアの拡大も実施していきたいと結びました。

村井 健二 氏

村井 健二 氏

 ㈱東急パワーサプライの村井社長からは、「首都圏異業種参入の立場から見た電力・ガス自由化の進捗」とのテーマでお話し頂きました。
電力・ガス小売り事業は、東急沿線住民の全レジデンスを対象にしたサービスと位置付け、意欲的に参画しています。現況の業績については、「東急ブランド」ファンの住民に支持されており、今後もエネルギー(電力×ガス)間競争と地域間競争は進展し、小売りレイヤ-は商売に専念する環境が整備されており、異業種新規業者は参入可能と説明されました。課題として、新電力・ガスは転入居者の取引獲得にかなり日数を要するとの指摘がありました。更に、最近ガスを営業対象にして、ガス業界は地域のインフラをしっかり担っているとの印象を持ったと付け加えられました。

質疑応答では、「小売り電力・ガスの価格競争の限界可能性」、「日本における太陽光発電の普及に向けてのコスト低下の可能性」、「『エネルギー供給構造の高度化法』・『省エネ法』・『計量法(メータの10年ごとの取替など)』等の規制への疑問」などについての率直な意見交換で大いに盛り上がりました。
 その後恒例の新年懇談会に移り、出席者からは、「この研究会には、電力・ガス事業者以外に様々な企業や団体の方々が参加しており、多様な意見が聞けていつも参考になります。今年もしっかり勉強して参りたい。」或いは「今回のテーマを楽しみにしていた。期待以上の説明や議論が聞けて大変良かった。」などの声が有りました。
2019.01.22会議風景
 


【講師ご略歴】
戸田直樹様
静岡県浜松市出身
1985年 東京大学工学部卒業 
東京電力株式会社(現東京電力ホールディングス株式会社) 入社
以来 同社企画部にて、電力システム改革を長らく担当し、電力システムの経済学の知見は国内有数。
2009年から2年間 電力中央研究所社会経済研究所派遣(上席研究員)
2015年  東京電力ホールディングス株式会社 経営技術戦略研究所 経営戦略調査室長
2016年より 同 チーフエコノミスト(現職)
著作はいずれも共著
・電力システム改革の検証(2015年 白桃書房)
・まるわかり電力システム改革キーワード360 (2015年日本電気協会新聞部)
・エネルギー産業の2050年 Utility3.0へのゲームチェンジ (2017年 日本経済新聞社)
 このほか NPO法人国際環境経済研究所ウェブに、電力改革研究会としての投稿が多数
 
 
大谷保雄(オオタニ ヤスオ)様
1971年12月24日生まれ 
出身:鳥取県
役職:鳥取ガス株式会社 部長
   株式会社とっとり市民電力 取締役部長
経歴:1997年 鳥取大学工学部知能情報工学科卒
   1997年 鳥取ガス㈱入社
   2015年 鳥取ガス㈱電力事業準備室配属
   2016年 ㈱とっとり市民電力へ出向し電力事業に従事し現在に至る   
 私は、鳥取ガスにも籍はございますが、基本的にはとっとり市民電力へ 出向し、ここ4年程電力事業に注力して参りました。
 
 
村井健二様
1964年10月31日生まれ
1988年4月  東京急行電鉄㈱ 入社
2005年6月  日本デジタル配信㈱ 常務取締役
2010年3月  イッツ・コミュニケーションズ㈱ 取締役常務執行役員
2011年7月  東京急行電鉄㈱ 事業戦略室ICT戦略部 統括部長
2014年5月  東京急行電鉄㈱ 生活サービス事業本部プロジェクト開発部統括部長
2015年4月  東京急行電鉄㈱ 生活創造本部 生活サービス事業部
電力事業推進部 統括部長
2015年10月  株式会社 東急パワーサプライ 代表取締役社長