株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2019.03.20 更新

一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第118回勉強会を開催しました

茂木 源人 氏

茂木 源人 氏

 2019年3月14日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第118回勉強会を開催しました。今回は当研究会の副代表幹事で東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻 准教授 茂木源人様に登壇頂き、「持続可能グローバルエネルギーシステムにおける水素の役割」とのテーマでお話し頂きました。
 
 まず、エネルギー問題を俯瞰して考える際の様々な課題についての説明がありました。
世界の人口動向について、産業革命以降は技術革新と戦争を繰り返して人口増加が加速してきました。今世紀ではアジアに次いでアフリカで人口爆発が起き、将来の人口推計は上限の見通しに沿って進んでおります。一方、先進国では高齢化社会が急速に進み、
経済は停滞する方向です。
 現代生活での一人当たり消費エネルギーは膨大であり、ローマ時代と比較して25人の奴隷を雇って生活している勘定になり、今後とも更に増加してまいります。
 一人当たりGDPの増加に伴い一次エネルギー消費は増加し、2050年に向けて石油消費は増加する見通しです。オイルメジャーも、今後とも石油を増産する予定であります。
自然気象災害の増大を受けて、従来地球温暖化に懐疑的割合が一定数に上っていた米国でも、最近の調査では気候変動は本当だと回答する割合が多くなっています。IPCCの報告の1.5℃シナリオでは、石油天然ガス生産を2030年までに20%、2050年までに55%減少する必要があります。CO2削減は不可避であり、その対策として炭素税導入によりエネルギー消費削減が可能になる方策が検討されています。
 
 次いで、グリーンエネルギーである水素の役割についての説明がありました。グリーンエネルギーの長距離輸送では、再生可能エネルギー由来の電力送電や蓄電池による方法での諸々の制約から、アンモニアや液化水素あるいは有機ハイドライド等の方法によるグリーン水素の輸送が選択肢となります。グリーン水素の製造についても、天然ガス改質やバイオマスガス化→ガス改質等々の製造方法の研究が進んでいます。

質疑応答では、「日本における水素インフラ整備の見通し」、「グリーン水素の種類別導入可能性」、「日本おける再生可能エネルギー発電のポテンシャル」、「AIやIoTの進展に伴うデータ処理の海外流出問題」、「50年先を目指した日本企業が採るべきエネルギーシステムへのアドバイス」などについての率直な意見交換で大いに盛り上がりました。

 その後の懇談会の出席者からは、「エネルギー問題は研究を深めるほど難しくなるとのことですが、それを考える際の課題を明示してもらい大いに参考になりました。」或いは「以前は日本のお家芸とも言われた触媒技術の専門研究者や技術者が不足していることに驚いています。」などの声が有りました。
2019.03.14構想エネルギー会議風景


【講師ご略歴】
茂木氏プロフィール○ 茂木源人先生
学歴
1982年3月 東京大学工学部資源開発工学科卒業

職歴
1982年4月~1985年3月 日本鉱業株式会社
1985年5月 東京大学工学部資源開発工学科 助手
1991年2月 工学博士
1992年4月 同学部地球システム工学科 講師
1992〜1993年 ルレオ工科大学 客員研究員
1994年7月 東京大学大学院工学系研究科地球システム工学専攻 助教授
2007年4月 東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 准教授
2008年~2013年 アドバンテッジ・パートナーズ社会戦略投資学寄付講座代表
2010年〜 太陽光を機軸とした持続可能グローバルエネルギーシステム総括寄付講座共同代表
2015年~ グローバル消費インテリジェンス寄付講座共同代表
2018年~ ブロックチェーンイノベーション寄付講座代表

現在の研究テーマは社会戦略工学,エネルギー経済学,リスクマネジメントなど.著書に「石油ビジネスのしくみ」,「石油エネルギー資源の行方と日本の選択」,「これからのエネルギーのはなし」など