株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2019.07.23 更新

一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第120回勉強会を開催しました

河合 大洋 氏

河合 大洋 氏

 2019年7月18日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第120回勉強会を開催しました。今回はトヨタ自動車株式会社 先進技術開発カンパニー 先進技術統括部 環境技術企画室 主査 担当部長 河合大洋様を講師にお迎えし、『FCVの開発と初期市場の創出~水素社会を目指して~』とのテーマでお話し頂きました。

 まずトヨタ自動車の環境チャレンジ並びに電動車の取組方針について説明されました。
2015年10月に「新車から排出される走行時のCO2排出量を2050年までに2010年比90%削減」を発表しています。2017年12月には、そのためのマイルストーンとして「2030年に全販売車両の電動化比率を50%以上にし、更にEV・FCV比率を10%以上にする」ことを公表しています。

 FCVの開発は、1992年にスタートしました。2002年モデルを世界に先駆けて日米で限定販売を開始し、2008年モデルでは航続距離・氷点下始動性を大幅に向上させ、2014年12月日本からMIRAIの販売を開始しました。MIRAIの累計販売台数は日米欧で9千台を超え、2020年頃以降グローバルで年間3万台以上の販売を目指しています。FCVの特色は、エネルギーの多様化、ゼロエミッション、走りの楽しさ並びに使い勝手の良さであり、更に非常時の電源供給能力は大きいです。
 
 次にFCVの生産・販売拡大の課題についての説明がありました。
・燃料電池システムコストの大幅引き下げです。2015年発売のMIRAIは2008年モデル比1/20まで引き下げていますが、本格的普及に向け2025年までに更に1/4まで下げる計画にあります。
・乗用車の性能向上と原価低減から進めて、1台当たりの水素消費量が多いバスやトラック等の商用車の展開というFCVの多様化により水素需要の拡大を見込んでいます。
・水素ステーションの整備拡充の実現です。現在108か所の商用水素ステーションが稼働していますが、整備目標を明示・自立化目標を提示しており、2020年代後半までに水素ステーション事業の自立化を目指して2030年に900基相当でFCV累計販売台数は80万台としています。
最後に欧米や中国の電動車普及のスピードに遅れを取らないためにも、我が国に於ける明示的なカーボンプライシングとしての炭素税の制度導入の必要性について言及されました。

 質疑応答では、「カーシェアリング等の車の所有形態の変化の今後への影響」、「水素産業がビジネスとして成り立つコスト構造」、「水素ステーションのショッピングセンターへの設置可能性」、「ハイブリッドの特許公開やFCVの生産技術のノウハウついての情報漏洩のリスク」などについての率直な意見交換で大いに盛り上がりました。
 その後の懇談会の出席者からは、「モノづくりの観点から、FCVの開発生産技術を日本発の世界を席巻するレベルに発展させて欲しい。」或いは「河合講師のお話を聞き、中期的経営の視点で水素への新たな取組について良く考えたい。」などの声が有りました。
2019.07.18講義風景


プロフィール河合 大洋 氏【講師ご略歴】
○ 河合 大洋 様
・1978年、トヨタ自動車入社
・エンジンの先行開発、欧州駐在、開発企画を経て、
2001年~2012年:FC開発責任者(部長)
・2012年~2019年:先進技術統括部、担当部長
FCV市場導入に向けた各国の政策並びにインフラ渉外を担当