株式会社 一柳アソシエイツ

構想エネルギー21研究会

2019.09.22 更新

一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第122回勉強会を開催しました

熊田 亜紀子 氏

熊田 亜紀子 氏

 2019年9月18日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第122回勉強会を開催しました。今回は、東京大学大学院工学系研究科 電気工学専攻 熊田亜紀子教授を講師にお迎えし、『ブラックアウトとは何か?(北海道地震を例に)』とのテーマでお話し頂きました。

 はじめに、ブラックアウトと停電の違いについての説明がありました。
ブラックアウトは系統全体のシステムがダウンした状態であります。停電は配電線が切れてダウンし、今回の台風15号による被害では倒木などの影響により復旧が手間取っている状態です。
昨年9月の北海道胆振東部地震により日本で初めて起きたブラックアウトは、苫東厚真発電所の3機がダウンしたことに加え、地震による送電線揺動により道東・北見エリアにつながる3路線(4回線)で地絡事故が発生したことが原因であります。

 これを受けて組織された経産省電力レジリエンスWGが取り纏めた対策は以下の通りです。
ソフト面の対策は、・停電及び復旧情報発信の在り方・自治体との連携・各電力会社間の仕様の共通化・新プレイヤーを含めての他電力からの応援、災害対策のコスト負担等であります。
ハード面の対策は、・地域間連系線の増強・災害に強い再エネ電源の導入・スマートメーターの活用や需要家サイドの採るべき災害対策の検討等であります。

 ブラックアウトに関するまとめとして、以下の諸点の指摘がありました。
・「想定外」のことは必ず起きる。
・発送電分離、再エネ電源の拡大という中、連系線の強化や送変電インフラの整備が必要。
・どこまでコストをかけて整備していくか、社会的コンセンサスを採る必要があり、そのために政治
 家のリーダーシップが強く求められる。
・新規プレイヤーの義務の取り方の検討。 

質疑応答では、「送電線網についての分散型整備の可能性や利用率の見方」、「直流高圧送電線網の普及の可能性」、「ブラックアウトから何を学ぶか」などについての率直な意見交換で大いに盛り上がりました。

 その後の懇談会の出席者からは、「ブラックアウトが発生する際の“電力需給の同時同量”の原則の重要性が良く理解出来ました。」或いは「ハードウエアの専門家として、3.11以降8年間稼働していない原発が速やかに正常に再稼働するか分からない。原発再稼働の可否についての政治家のリーダーシップが求められるとの講師のコメントは全くその通りだと思います。」などの声がありました。
講義風景


【講師ご略歴】
熊田 亜紀子 氏 プロフィール熊田 亜紀子(くまだ あきこ)様
☆学歴
1994年3月 東京大学工学部卒業
1996年3月 同大学大学院工学系研究科修士課程修了
1999年3月 同大学大学院工学系研究科博士課程修了 博士(工学)
☆職歴
1999年4月 東京大学大学院新領域創成科学研究科先端エネルギー工学 助手
2001年5月 東京電力(株)電力技術研究所 雷・絶縁解析・絶縁技術グループ 研究員
2003年4月 東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻 講師
2004年7月 同 助教授
2007年4月 同 准教授(役職名変更)
2008年4月 東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻 准教授(専攻名変更)
2017年10月 同 教授 現在に至る
☆社会貢献
政府審議会等学外委員・国土交通省関係:2件、総務省関係:3件、経済産業省関係:5件、
内閣府関係:1件、人事院関係:1件、日本学術振興会関係:2件
2014~2016年 文科省 学術調査官
☆学会関係
電気学会 放電プラズマパルスパワー技術委員会 副委員長(2019-)、
高電圧技術研究会 副会長、IEEE DEIS Administrative Committee Member (2018-)、
IEEE DEIS Associate Editor(2015-)、IEEE PES Japan Chapter Treasurer(2019-) 
☆研究テーマ
電力輸送分野、それも高電圧大電流分野に、光学的センシング技術を適用してきました。
電力輸送分野においては、再生可能エネルギー源大量導入に伴い、直流の復権という100年ぶりのパラダイムシフトが起きており、それに伴い電力機器においても新しい課題が発生し、それら課題の解決をはかっています。
ニーズに対応した研究だけでなく、量子化学計算や機械学習を利用した絶縁材料探索、絶縁材料特性解明の取り組みなど、“シーズ”研究にも取り組んでいます。