株式会社 一柳アソシエイツ

特別講座

2018.05.25 更新

第96回一柳アソシエイツ特別講座を開催しました

2018年5月22日 第96回一柳アソシエイツ特別講座を開催しました。

森川 博之 氏

森川 博之 氏

 今回の特別講座は、東京大学大学院教授の森川博之氏をお招きし、「デジタル変革時代の経営」と題してご講演をいただきました。
 森川氏は、1992年に東京大学大学院工学系研究科博士課程を修了(工学博士)、以後、東京大学での研究一筋に、≪ビックデータ時代の情報ネットワーク社会はどうあるべきか≫、≪情報通信技術はどのように社会を変えるか≫という視点から幅広く研究されており、研究成果に対して数多くの受賞をしているほか、政府審議会委員や内外の学会の会長などを歴任されるなど、情報通信分野の第一人者のお一人です。

 森川氏は、映像を用いながら、デジタル化の本質やデジタル化が進展する社会、そして企業のあり方について、分かり易く話されました。
 デジタル化は、それまでのアナログの状態がITの急激な進化により、生活の隅々までデジタルに変換され、ネットワークの拡大とともに、それらのデータが蓄積され、AIの進化で高度な解析が行われて、現実の世界に新たなビジネスやサービスが提供される状態である、と説明されました。このような「デジタル変革」は、従来の産業の垣根を超えた動きであり、いまだ発展途上にあるが、生産性の向上と新たな価値の創出の可能性を大きく秘めており、まさに≪走りながら取り組んでいく≫というのが実情である。その動きの一端として、建設分野で品質や工期などのニーズに柔軟に対応しているデジタル化事例(「スマート建設生産システム」)などを示されながら、世界的に見て生産性が低いとされるわが国こそ、デジタル化による大きな効果が期待できること、特に人口減少・高齢化が著しい地方の活性化の源泉になりうると、強調されました。

 実際に取り組んでいくに当たっては、AIが万能ではなく、人間がこれまでの既成概念を取り払い、物の価値を顧客サイドから見つめ直すことと、≪物的資産のデジタル化≫を活用して、新しい付加価値を創出することが可能となる。そのためには、真の顧客ニーズを追及する強い想いとこだわり・夢、そしてストーリー性を持ち、≪海兵隊≫のように積極的にリスクをとって、粘り強く時間をかけて取り組むことができるような組織風土・人材活用・エコシステム創り(幅広い協業など)が必要である。何よりも、現場の力を徹底的に活用することがポイントであり、その一例として、NTTドコモが取り組んでいる「農業ICT推進プロジェクトチーム」の有志女性社員による「アグリガール」の自発的な取り組みを紹介されて、デジタル時代への向き合い方を締めくられました。
 質疑では、企業の実情を踏まえた具体的な質問などが出ましたが、ひとつひとつ丁寧にコメントをされて、理解を深めることができました。
 聴講者からは、「分かり易い講演で、デジタル化について苦手意識が和らいだ」「システム投資への考えが整理できた」「事業見直しのヒントが得られた」などと、好評をいただきました。
2018.05.22講義風景