株式会社 一柳アソシエイツ

特別講座

2018.07.05 更新

第97回一柳アソシエイツ特別講座を開催しました

2018年7月3日 第97回一柳アソシエイツ特別講座を開催しました。

小川 和久 氏

小川 和久 氏

 今回の特別講座は、軍事アナリスト 小川和久氏(国際変動研究所理事長・静岡県立大学特任教授)を講師にお招きし、「トランプと金正恩の『死闘』に学ぶ」と題し、先日のトランプ大統領と金正恩委員長との対談を巡る一連の動きの実態、それを踏まえた日本の安全保障問題について、鋭い切り口でご講演をいただきました。
 小川氏は、日本初の軍事アナリストとして、長年にわたり我が国の外交・安全保障・危機管理(防災・テロ対策・重要インフラ防護など)の分野で、政府関係へのアドバイスをされるなど、幅広くご活躍されています。とりわけ、我が国の安全保障については、独自の情報網を駆使された鋭い分析に基づき発言されており、この分野を代表する論客です。一柳とは家がご近所の友人で、折に触れ新しいプロジェクトの勉強会などもやっている仲間です。

 小川氏は、去る6月12日に実現したトランプ大統領と金正恩委員長との対談に至る道のりを概観しながら、次のように話を進められました。
 今年1月ごろから金委員長側のモーションが鮮明となり、これに呼応するようにトランプ大統領も、韓国、中国を間に挟みながら、間合いを図り、その過程では、「ゲーム」のように硬軟ないまぜた駆け引きが繰り返された。しかし、体制存続を最大の課題とする金委員長、中間選挙の勝利から大統領再選を目指すトランプ大統領の思惑が一致し、対談の実現に至ったものである。そこには、ワンマンな企業経営者と独裁者に共通する思考・行動があるが、専門家はそのような発想ができず、予測できなかった。米国CIAは、金委員長を「長期的な目標に基づいた理性的な行動」をとる人物と評定している。
 トランプ大統領は、安全保障問題については、ポンペオ国務長官、ケリー大統領首席補佐官、マティス国防長官らによる安全保障チームに任せており、安定していることを理解すべきである。また、中国は、北朝鮮の体制保証と中国資本による投資を約束して、後ろ盾としての地位を堅固ものにした。
 今後は、紆余曲折はあるものの、朝鮮半島の緊張緩和への動きは進むだろう。したがって、我が国は、日本列島が米軍の行動範囲を支えているという状況を認識して、≪自分の国は自分で守る≫考えのもとに、日米同盟を徹底的に活用し、朝鮮半島の平和の当事者の一人であるという強い信念で、振る舞うことが肝要である、としめくられました。
 講演後には、朝鮮半島の統一の可能性、中国勢力拡大のもとでの米中関係の行方、朝鮮半島の非核化のタイムスケジュール、日本としての経済力と軍事力とのバランスなど、出席者から幅広い内容について活発な質疑が行われ、小川氏からひとつひとつ丁寧にご見解をいただきました。
 小川氏のわかりやすい語り口での、一般にはあまり知られていない情報を織り交ぜながらの話に、出席者は熱心に聞き入り、「日ごろのマスコミ情報だけは得られない情報があることが分かった」「視野が広がった」などといった声が寄せられました。
2018.07.03講義風景