株式会社 一柳アソシエイツ

特別講座

2019.01.25 更新

第100回一柳アソシエイツ特別講座を開催しました

2019年1月22日 第100回一柳アソシエイツ特別講座を開催しました。

大田 弘子 氏

大田 弘子 氏

 今回は、第100回という節目となる特別講座ですが、政策研究大学院大学教授の大田弘子氏をお招きし、「2019年の日本経済とその課題」と題してご講演をいただきました。大田氏には、2011年から連続、新年の特別講座にご登壇いただいており、第100回の特別講座を飾っていただきました。
 大田氏は、かつて安倍内閣・福田両内閣で経済財政政策担当大臣を務められ、その後、第2次、第3次安倍内閣で「内閣府規制改革会議」の議長代理、その後身の「内閣府規制改革推進会議」の議長を務められ、第4次安倍内閣でも、一貫してアベノミクスの核心である規制改革政策の一翼を担っています。また、大手企業の社外取締役なども歴任され、企業経営にも通暁されています。
 専門の財政・経済政策で、鋭い分析と、本質を突いた問題提起・提言を分かりやすく語られ、マスメディアの場でも幅広くご活躍されておられます。一柳とは、一緒にお酒を飲みながら勉強する仲間です。

 大田氏は、いつものように、見やすい資料を基に、国際経済を踏まえながら日本経済の課題について話されましたが、冒頭、「昨年は「適温経済」(ゴルディロックス経済)と話したが、今年は内外ともに波乱含みの年」と診断されました。
 まず、世界経済のリスクとして米中貿易摩擦、中国経済の減速、トランプ政権の保護主義、Brexit(合意なき離脱)、欧州の政治情勢、中東情勢の動向などを挙げられ、特にハイテクをめぐる米中の覇権争いは、情報関連分野で世界に大きな影響を与えることを説明されました。
 国内では、経済全体としては悪くはないが、消費が弱く、今後、円高が予想され、国内景気のスローダウンの可能性が高まっている。先々、生産人口が減少していく中、経済成長を維持していくためには、技術革新、人材投資などによる生産性向上が必須である。
 そのための喫緊の課題は、①イノベーションを起こしやすい環境整備と、②持続可能な社会保障制度の構築である。このうち、②の社会保障制度については、安倍政権の一番弱いところであるが、今年が5年に一度の財政検証の年であり、参議院選挙後からの本格的な議論を期待している。
 イノベーションに関しては、最近のデジタル化がもたらす市場の急速な変化にどう対応していくか、すなわち、技術・ビジネスモデルの転換スピード化、事業の担い手の拡大・多様化、事業の一気なグローバル展開、への対応が問われている。このためには、日本企業が苦手とする「破壊的イノベーション」が必要となる。「まずやってみよう」と経営トップがコミットすることが大切である。国も、その環境を整備するため、様々な分野での規制改革に取り組んできたが、既成勢力(政・官・業の鉄のトライアングル)の抵抗がきわめて強く、壁が高いのが実情である。
 しかし、そのような中でも、2013年以降の規制改革への取り組みを概観し、いくつもの事例を挙げながら、風穴を開けてきたことを説明されました。最近の具体的事例として、漸く、その緒に着いた段階のオンライン医療、遠隔教育、農業用ドローン規制、自家用有償旅客運送での折衝事例を挙げながら、国民に、そして何よりもマスコミにも正しく理解をしてもらいたいとの熱い想いを語られました。
2019.01.22講演風景

 質疑応答では、次々と手が上がりましたが、一つ一つ丁寧に率直なご意見を披歴されました。聴講者から「日本経済の状況と課題について、よく理解でき、腑に落ちた」「忌憚のない見解に、問題の本質を知ることができた。」などの言葉をいただき、今回も好評な特別講座となりました。