株式会社 一柳アソシエイツ

特別講座

2019.07.11 更新

第103回一柳アソシエイツ特別講座を開催しました

2019年7月10日 第103回一柳アソシエイツ特別講座を開催しました。

中須賀 真一 氏

中須賀 真一 氏

 今回の特別講座は、東京大学大学院工学系研究科宇宙工学専攻教授の中須賀真一氏を講師にお迎えし、『超小型衛星による宇宙ビジネスの展開とNew Spaceの台頭』と題して、ご講演を頂きました。
 中須賀先生は、子供の頃から宇宙・航空が大好きで、1983年東京大学工学部航空学科、1988年同大学大学院博士課程を修了(工学博士)し、日本IBMで人工知能などを研究するが、1993年に恩師に呼び戻されて東京大学工学部航空学科講師となり宇宙の研究を再開。助教授を経て、2005年、教授(現職)に就任されました。
 1999年スタンフォード大学での見聞を契機に、超小型衛星の研究を開始。人工衛星といえば政府による巨大プロジェクトという時代に、いち早く超小型衛星の将来性を見抜き、超小型衛星の開発・打上げ・運用、人工知能の宇宙への応用等の研究に没頭、この分野の第一人者です。中須賀先生は、日本初の「ほどよし信頼性工学」という発想を取り入れて、早くから大学生とともに超小型衛星の開発・製作から打上げ、運用までを短期間、かつ安価で可能にすることに挑戦し、わが国の最先端研究開発プログラムに選ばれるなど、衛星ビジネスの可能性を切り拓いてこられました。一柳とは、TV出演、会食など、長い交流をしています。
 中須賀先生は、まず従来の中・大型衛星中心の宇宙開発分野において、「超小型衛星」(100Kg以下)の出現・実用化で、世界的な規模で、ゲームチェンジ(宇宙開発革命)が生じていることの背景や実態を説明されました。超小型衛星は「超低コスト(200億円以上→数千万円~5億円以下」「短期のライフサイクル(5年以上→1~2年以下)」「衛星システムがシンプルで透明(部品点数が少ない)」という特色があり、最近のAIの急速な進歩と相まって、様々な分野で広く活用できる可能性が高まり、宇宙ビジネスに拍車がかかっていることを、多くの事例を示しながら説明されました。
 日本では、東京大学で2000年から取り組み2003年6月に世界に先駆けて打上・運用に成功したCube Sat(重量1Kgで世界最小衛星、開発期間2年、部品代3百万円)が嚆矢となり、以後、1~50Kg級衛星が各大学で教育目的からスタート、実用化(地球観測、宇宙科学)に向けて開発が進んできています(東京大学では、9機打上済み、5機打上待機中)。中須賀先生は、超小型衛星の開発は、短期間で開発から運用までかかわることができるため、学生に対する実践的教育・工学教育効果が大きく、学生にとってはプロジェクトマネジメントのポイントとなる①時間、②人間、③コスト、④リスクマネジメントを学べるなど、教育意義が高いことを強調されました。そして、経験した学生の中からは、国などの宇宙プロジェクトの責任者や自ら起業して宇宙ビジネスを手掛けている事例も紹介されました。
 世界の宇宙産業市場は急速に伸びており、現在は35兆円程度となっているが、日本はまだ1兆円強程度にとどまっている。New Space(民間主導の宇宙開発)が注目される中、日本は超小型衛星の分野では、確かな実力を持っており、もともと限られたスペースの中に様々な機能を実装することを得意としているので、「世界一の超小型衛星大国」を目指していくべき、と熱く語られました。
 質疑では、宇宙ゴミや、エネルギーとの関わり、打上げ費用の引下げ、宇宙の国際ルール、中国の取組みレベル、安全保障(防衛)、教育との関係など、多くの質問に対して、一つ一つ、丁寧に説明されました。
 聴講者からは、「これまで縁遠いと感じていた宇宙が身近に感じた」、「超小型衛星の可能性の大きさに驚いた」、「ビジネスの面で活用を考えてみたい」などの声をいただきました。
2019.07.10講義風景