構想エネルギー21研究会エネルギー産業構造の変革期が訪れようとしています
一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第149回勉強会を開催しました
2023.11.24 更新
2023年11月21日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第149回勉強会に東京大学先端科学技術研究センター/大学院工学系研究科 教授 岡田至崇様を講師にお招きし、『太陽光発電の効率向上の技術開発動向』とのテーマでお話しを頂きました。
はじめに太陽エネルギーから電気を作る太陽光発電(太陽電池)の原理の解説がありました。太陽電池の定義は、「太陽光の照射を受けてそのエネルギーを直接電気エネルギーに変える半導体素子」であります。このエネルギー変換に当たり熱損失や量子損失により最大の変換効率は31%程度です。
現在、従来の単接合太陽電池の効率を上回りかつ低コスト化が展望できる次世代高効率太陽電池の研究開発が加速しております。
岡田先生は、量子ドットを用いた太陽電池により従来の太陽電池では発電に使えなかった赤外線などの光も吸収し、更にはコロイド量子ドットを用いて低コストな太陽電池の開発を行っています。
このほか、最近ではペロブスカイトという材料を用いたペロブスカイト太陽電池の開発が盛んです。この太陽電池のメリットは、安価な素材で製造出来、軽く薄くフレキシブルにできる点にあります。課題としては、ソーラーパネルのサイズの大面積化、変換効率や耐久性の向上、ペロブスカイト材料の不安定性への対策が挙げられます。
最後に今後の高効率かつ低コスト技術の次世代太陽電池の開発動向の説明がありました。
・量子ドット太陽電池の事業化目標は2040年で、理論効率47%(非集光)、63%(集光時)を目指します。課題は、現状の平面Siパネルと比べてコストが高い点です。
・ペロブスカイトに代表される異なる種類の光電変換層を重ねた構造を持つタンデム太陽電池(ペロブスカイト//Si、Ⅲ-V//Si)の事業化目標は2030年で、効率33%に向けた開発が加速中です。新しい付加価値(軽量、曲げられる、シースルー、熱線利用等)により、移動体、ビル壁面・窓等への市場開拓が見込まれます。
質疑応答では、「太陽電池2.0開発に向けた政府のスタンス」、「太陽電池への民間事業の取組み姿勢」、「ペロブスカイトのメリット・デメリット」、「高効率太陽電池の事業化に向けた課題・ネック」などについての率直な意見交換で大いに盛り上がりました。
今回の出席者からは、「高効率太陽電池の事業化については、我が国の技術力を遺憾なく発揮して世界をリードする姿を是非見たいものです。」或いは「国内外の方々とのグローバルな共同開発も進める講師の、新しい太陽電池への真摯な研究開発への取組み姿勢には敬服します。」などの声が有りました。
【岡田至崇様ご略歴】
連絡先 〒153-8904 東京都目黒区駒場4-6-1
東京大学 先端科学技術研究センター
新エネルギー分野 CCR棟A-503号室
TEL (03) 5452-6501 FAX (03) 5452-6508
E-mail: okada@mbe.rcast.u-tokyo.ac.jp
研究室ホームページ:
http://mbe.rcast.u-tokyo.ac.jp/
Researchmap: https://researchmap.jp/okadalab6501
略歴
1990年 3月 東京大学大学院工学系研究科博士課程電子工学専攻修了(工学博士)
1990年 4月 筑波大学物質工学系 助手.同講師,准教授を経て,
2008年 4月 東京大学先端科学技術研究センター新エネルギー分野 准教授
2011年 4月~同教授,現在に至る. 応用物理学会フェロー,日本太陽光発電学会理事