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一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第150回勉強会を開催しました

2024.01.24 更新

一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第150回勉強会を開催しました

 2024年1月22日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第150回勉強会に東京大学公共政策大学院 特任教授 有馬純様を講師にお招きし、『COP28等地球温暖化をめぐる国際情勢と日本の課題』とのテーマでお話しを頂きました。

【有馬純講師】

 はじめに、パリ協定が締結された2015年COP21からの国連気候変動枠組条約締約国会議の議論の経緯の説明がありました。
・パリ協定では、産業革命以降の温度上昇を1.5℃~2℃以内に抑え、今世紀後半の出来るだけ早い時期にカーボンニュートラルを実現することを世界全体目標としています。そのために各国は国情に合わせて温室効果ガス削減・抑制目標を設定し、進捗状況を定期的に報告しレビューを受け、5年ごとに目標を見直すとしています。
・2021年グラスゴーで開催されたCOP26では、産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑える努力を追及するとして目標が強化されました。そのほか石炭火力発電を段階的に削減し、途上国への資金支援を倍増させ年間1000億ドルの目標を達成するとしています。
・2022年エジプトで開催されたCOP27では、2030年の国別目標を「1.5℃目標」ではなく「パリ協定気温目標」に整合的なものに強化していくとしており、「ロス&ダメージ基金」の設置を含め、脆弱な国への新たな資金面での措置を講じることを決定しています。

 今回のUAEドバイで開催されたCOP28での決定事項についての有馬講師の見解は以下の通りです。
UAE主導のアクションアジェンダ(再エネ3倍、省エネ2倍等)、ロス&ダメージ基金の資金アレンジメントの合意、第1回グローバルストックテークの合意、更には脱炭素化の手段として原子力、CCUS、移行燃料が位置付けられたことは大きな成果と言えます。
一方、グローバルストックテークでは2035年NDC設定に於いて1,5℃目標を参照することに合意されましたが、あくまでも「認識」対象であり、中国やインドがそれに見合った大幅削減目標を出す可能性は極めて低い。
1.5℃と整合的な排出削減やエネルギー転換を途上国で実現するには年間1000億ドルという現行支援目標を10倍近く上回る資金が必要である。
温暖化問題のCOPの場においても現実にはエネルギー及び経済安全保障問題と密接にリンクしており、国際政治情勢全体のコンテクストで考えるべき問題であると指摘しています。

【講義風景】

 最後に、政府には今こそ国益最優先の温暖化外交が求められると強調されました。
・中東依存度の高い日本は化石燃料を狙い撃ちする欧米の議論等とは一線を画すべき。
・化石燃料資源の不在、再エネに向かない国土条件、隣国から切り離された送電網、パイプライン接続の不在等、日本は他のG7諸国に向けて圧倒的に不利。
・2050年カーボンニュートラル目標最優先の政策を教条的に進めた場合、エネルギーコストの上昇、経済、雇用に悪影響が出る恐れ。
・原子力3倍増の有志国声明やグローバルストックテーク決定文に原子力が含まれたのはポジティブな動きで、政府も積極的に広報に活用しエネルギー安全保障、温暖化防止、対中過剰依存を防ぐためにも原子力を推進すべき。
 などの指摘をされています。

 質疑応答では、「気候変動の取組み方針における原子力推進の位置付け」、「政府の第7次エネルギー基本計画策定の取組み対応」、「天然ガス火力発電等化石燃料関連の融資への金融機関対応」、「再エネ事業等への政府の環境・雇用政策のコミットメント」、「国際外交交渉における理想と現実のバランスの採り方」などについての率直な意見交換で大いに盛り上がりました。
 今回の出席者からは、「温暖化問題に長期間積極的取組み、各国や国際機関の事情に詳しく多角的な視点を堅持し、環境問題から原子力に至るまでここまで語れる方に初めてお会いした。」或いは「1.5℃の持つ意味合い、カーボンニュートラル、化石賞などの理解が今まで全く不十分であったことを痛感しました。」などの声が有りました。 
 3年振りに開催しました新年会では、参加者の皆様が美味しい料理に舌鼓を打ちながら会話も弾み和やかな雰囲気に終始しました。また、会員の田内様、眞鍋様、三原様からのスピーチでは「この研究会では、様々な業種の方々が参加され多岐に亙る議論することが出来大いに勉強になります。」とのお話しを頂きました。

【集合写真】

【有馬純講師ご略歴】

1982年東京大学経済学部卒、同年通商産業省(現経済産業省)入省。経済協力開発機構(OECD)日本政府代表部参事官、国際エネルギー機関(IEA)国別審査課長、資源エネルギー庁国際課長、同参事官等を経て2008~2011年、大臣官房審議官地球環境問題担当。2011~2015年、日本貿易振興機構(JETRO)ロンドン事務所長兼地球環境問題特別調査員。2015年8月東京大学公共政策大学院教授、2021年4月より東京大学公共政策大学院特任教授。経済産業研究所(ERIA)コンサルティングフェロー、アジア太平洋研究所上席研究員、東アジアASEAN経済研究センター(ERIA)シニアポリシーフェロー。IPCC第6次評価報告書執筆者。帝人社外監査役。これまでCOPに16回参加。

著書「私的京都議定書始末記」(2014年10月国際環境経済研究所)、「地球温暖化交渉の真実―国益をかけた経済戦争―」(2015年9月中央公論新社)
  「精神論抜きの地球温暖化対策-パリ協定とその後-」(2016年10月エネルギーフォーラム社)
  「トランプリスク-米国第一主義と地球温暖化-」(2017年10月エネルギーフォーラム社)「亡国の環境原理主義」(2021年11月エネルギーフォーラム社)
  「エコファシズム-脱炭素、脱原発、再エネ推進という病」(2022年10月岩田温氏との共著、育鵬社)

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