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一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第151回勉強会を開催しました

2024.03.22 更新

2024年3月19日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第151回勉強会に東京大学大学院工学系研究科 原子力国際専攻
教授 高田孝様を講師にお招きし『日本の原子力発電の展望と次代を紡ぐ原子力工学教育』との演題でお話しを頂きました。

【高田孝講師】

 はじめに、国内外での原子力発電の情勢についての説明がありました。 
国内の原発の稼働状況は、加圧水型軽水炉(PWR:Pressurized Water Reactor)のみで12基であり、それらの国内発電量シェアは約7%です。エネルギーの安定供給の観点から自給率は重要なポイントですが、我が国は11%と圧倒的に低く2030年の自給率目標は再エネと原発を合わせて30%程度であり、そのうち原子力が10%となりますが、再エネの電力供給量の不安定性を考えると、原発の稼働数の目安は12基では全く足りません。2030年の目標達成に必要な基数を確保するためには、既存原発の運転期間の延長に止まらず、廃炉を決定した原発での次世代革新炉への建て替えの具体化が必要です。
国際的にも、昨年12月UAEドバイで開催されたCOP28では、原子力3倍増の有志国声明が発表され、グローバル・ストックテイク決定文章には原子力利用が明記されています。

更に、次世代革新炉について以下の4種の炉型の特徴や利点・課題に関し詳しく説明されました。
・革新軽水炉:既存の軽水炉の設計をベースに新技術(受動安全やデジタル技術等)を導入した軽水炉
・小型軽水炉(小型モジュール炉):電気出力が概ね30万KW以下の小型かつモジュールで製造される新型原子炉
・高速炉(ナトリウム冷却高速炉):高速中性子により、核分裂連鎖反応が維持される原子炉
・高温ガス炉:減速材に黒鉛、冷却材にヘリウムガスを用いて、発電だけでなく高温の熱(~900℃)を利用できる原子炉
 以上を踏まえ、我が国のエネルギーセキュリティの観点から並びに国際的な原子力利用への期待を含め、原子力発電の継続は重要であると結ばれました。

 次に、原子力工学教育についての説明です。
原子力工学は、原子炉に関係する物理学の他、機械・電気・土木建築・金属材料・応用科学・情報処理等から構成される総合工学であります。異なる研究領域の研究者が紡がれて一つの原子力工学分野を発展させるとともに、原子力工学を習得した研究者が紡がれて他の分野を発展させるという相互に撚り合わされる関係即ち相互に紡がれる学問領域であり、その観点から学生だけでなく若手の社会人教育も重要であると強調されました。

 質疑応答では、「それぞれの次世代革新炉に関する発電効率向上策」、「国際展開を展望した次世代革新炉の選択」、「原子力工学を含め海外展開に寄与する大学教育」などについての率直な意見交換で大いに盛り上がりました。
 今回の出席者からは、「講師の一つの大学に止まらない国内外の多様な職務経験に裏打ちされた『紡むがれる関係性』を標榜する取り組み姿勢に大いに感激しました。社会に有用なより多くの人材を輩出されますよう期待します。」或いは「原子力発電への理解を深めることが出来ました。今後原子力発電関係者の人材の厚みを増やすとともに原発への冷静な理解者を増やすよう頑張って頂きたい。」などの声が有りました。

【高田孝様 ご略歴】
連絡先
〒113-8656 東京都文京区本郷7-3-1
工学部8号館729号室
TEL (03) 5841-2917 FAX (03) 5841-2916                     
Email:takata_t@n.t.u-tokyo.ac.jp
研究室ホームページ
https://www.takatalab-utokyo.org/
略歴
1992 年 3 月   東京工業大学 工学部 生産機械工学科卒業
1994 年 3 月   東京工業大学 大学院理工学研究科 生産機械工学専攻修士課程修了
1994 年 4 月~   川崎重工業株式会社(原子力本部技術部技術第二課)
1999 年 7 月~   核燃料サイクル開発機構(現日本原子力研究開発機構)
        大洗工学センター出向
2001 年 7 月~    フランス原子力庁 グルノーブル原子力研究センター
        Visiting researcher(1 年間)
2003 年 10 月~  大阪大学大学院 工学研究科 環境エネルギー工学専攻 助手
2005 年 3 月      工学博士(大阪大学)
2005 年 6 月~    大阪大学大学院 工学研究科 環境エネルギー工学専攻 准教授
2013 年 4 月~    日本原子力研究開発機構 高速炉計算工学技術開発部
        研究副主幹、グループリーダー
2018 年 12 月~ 東京大学大学院 工学系研究科 原子力専攻 特任教授(兼務)
2021 年 7 月~    東京大学大学院 工学系研究科 原子力国際専攻 教授 現在に至る

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