構想エネルギー21研究会エネルギー産業構造の変革期が訪れようとしています

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一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第136回勉強会を開催しました

2021.11.30 更新

 2021年11月25日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第136回勉強会を開催しました。今回はアスパラントグループ株式会社シニアパートナー/慶應義塾大学経済学部特任教授 川本明様に登壇頂き、「日本経済社会の長期展望-再び羽ばたくために」とのテーマでお話しを頂きました。

川本明氏

 はじめに、2013年から慶応大学で教鞭を採って日本経済論としてのアベノミクスについて長く教えてきた経験を踏まえ、人類の進化の観点から今我々は何処にいるのかということについての説明が有りました。人類は、生命の歴史の中では一瞬に過ぎないこの3百年で、複雑なアイデアを創出しシミュレーションを行うなど、合理的思考による進化を驚異的なスピードで成し遂げました。(科学革命)同時に、社会組織のイノベーションである国民国家による社会システムを築き、発展しました。

 しかし社会システムの解明は人間と人間関係の複雑さがあり、まだ十分ではありません。今必要なことは、社会システムを科学することだと思われます。(社会)科学はオープンなもので正解は有りません。常に仮説と検証を繰り返し、通説を疑う懐疑心を高めフリーディスカッションを奨励し、無限に真理の探究を目指すべきです。 日本経済は謎ばかりで、これを突き止めればノーベル賞も貰えるではないかとも話されました。

ソーシャルディスタンス会場とオンライン受講を併用した講義風景

 最後に、日本経済の課題として、スピードアップ、マインドセット、政治の硬直化の3点を挙げました。
スピードアップについて、労働市場改革、産業分野の規制改革、高成長スタートアップの育成などの全ての分野で対応が遅く、その対策として官僚を如何に動かすかということやデジタル化による民間並みの政府の予算制度のスピードアップの実現を挙げました。
マインドセットでは、困難な課題は成長の機会と捉え不断の努力を惜しまない成長型思考(Growth mindset)は後天的にも獲得出来るので、学校や職場での教育を浸透させたい。
政治の硬直化では、平成改革モデルの機能不全の反省を踏まえ、交代可能な野党の形成がポイントになります。

 質疑応答では、「温暖化問題や原発等のエネルギーの諸問題に対する経済学の有効性」、「日本の政治主導の在り方、日本国民のマインドセットやスピード感」、更には、一柳代表が問題提起した「日本のベンチャー企業への投資の少なさや大学発ベンチャーの成功確率の低さ」などについての参加者を含めた率直な意見交換で大いに盛り上がりました。

 今回の出席者からは、「久し振りに大学の講義を聞く思いがして新鮮でした。講師の川本様には、ビジネスの世界での活躍と共に日本の将来を担う活力ある学生を一人でも多く育てて欲しい。」或いは「講師や出席の大学関係者から、優秀な学生が大企業や官庁を選択せずに、起業やベンチャー企業を志向するケースが増えており今後とも着実に増加するとの話しを聞き心強く思う。」などの声が有りました。

講師ご略歴】

○ 川本明様

アスパラントグループ株式会社 シニアパートナー
慶應義塾大学 経済学部 特任教授昭和33(1958)年8月19日生 
東京大学法学部(法学士)
英国オックスフォード大学 修士号(MA)政治哲学経済
昭和56(1981)年   4月 通商産業省入省
昭和61(1986)年 6月 行政官長期在外研究員(英国)
平成 6(1994)年 6月 経済企画庁調整局調整課
平成 7(1995)年 8月 経済協力開発機構(規制改革プロジェクト)
平成11(1999)年 7月 通商政策局通商調査室長
平成12(2000)年 6月 資源エネルギー庁公益事業部業務課長
平成13(2001)年 1月 資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力市場整備課長
平成15(2003)年 7月 経済産業政策局産業構造課長
平成16(2004)年 6月 内閣府政策統括官(科学技術政策担当)付参事官(基本戦略担当)
平成18(2006)年 7月 経済産業研究所 研究調整ディレクター
平成20(2008)年 2月  内閣参事官(内閣総理大臣補佐官付、社会保障国民会議担当)
平成21(2009)年 7月 経済産業省大臣官房審議官(経済社会政策担当)
平成22(2010)年 7月 企業再生支援機構 専務執行役員
平成24(2012)年 6月 経済産業省及び企業再生支援機構を辞職
平成24(2012)年 10月 アスパラントグループ株式会社 シニアパートナー
平成25(2013)年 4月 慶應義塾大学 経済学部 特任教授
平成26 (2014) 年 3月 フューチャーアーキテクト(現フューチャー)株式会社 社外取締役(現在に至る)
平成30(2018)年 5月 株式会社オンワードホールディングス 社外取締役(現在に至る)  
・公職歴      規制改革会議専門委員(2013~2014)、農林水産省「A-FIVEの検証に係る検討会」委員(2020)
内閣府「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」構成員(2020~)
・教職歴      早稲田大学政経学部講師(社会経済学2001)
専修大学大学院客員教授(産業構造論2003–04)
東京大学公共政策大学院講師(政策事例研究2006–09、2011–12)
・主要著作 
「規制改革」中公新書 (1998)
「なぜ日本は改革を実行できないのか」 日本経済新聞出版社(2013)
その他;「司法改革と日本経済」(2001)、「日本の電力改革-自由化から構造改革へ」(2001)、「WTOと国内規制改革」(2003)、「水道事業の民営化」(2005)、「研究開発政策-政府研究開発投資の最適配分」(2007)「世の中の見え方がガラッと変わる経済学入門」(2016)等

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