一志会 2010年10月に発足した限定メンバーによる
新しい形のコミュニティ
「一志会」第93回の例会(講師:内閣官房参与、明星大学経営学部教授 細川 昌彦 氏)が開催されました。
2026.06.24 更新
第93 回一志会例会 レポート 2026年6月23 日

一志会は、「公の精神」のもとに積極的に社会的責任を果たそうとの想いを共有する企業経営幹部の「コミュニティー」です。6月23日(火)に、第93回例会を開催しました。
今回は細川昌彦氏(内閣官房参与、明星大学経営学部教授)から、「経済安保で企業経営者が知っておくべきこと」と題したご講話をいただきました。

細川氏は、経済安全保障をエネルギー安全保障も含む広い概念として考え、特に、原油・ナフサ・レアアースなど、供給リスクの高い資源が重要であることを示され、日本企業の中国依存の高さを懸念し、調達先の見直しの必要性を説かれました。
また経済合理性についても、原油の中東依存を高めた「安く買う」だけではなく、リスクや供給途絶の可能性も含めた経済合理性に転換すべきであり、多少高くても、安定供給・代替調達・備蓄を重視する仕組みの重要性を理解する必要がある。企業はサプライチェーンを総点検し、各事業部の調達先を洗い出し、どこに脆弱性があるか把握することが重要であり、かつその判断はコスト削減を意識しすぎる調達部門任せではなく、企業の存続リスク管理として捉えることができる経営者自身が行うべきであると話されました。
そのため今後は取締役会レベルで経済安保を議論することが求められ、経済安保を理解・対応していない経営者は、ガバナンス上も厳しく見られることを説かれました。
最後にこれからの国際関係は、自由貿易だけでなく、経済安保が国同士を結ぶ接着剤になること。その際のキーワードはアライアンス(連携)であり、国・企業ともに、どの相手とどう連携するかが重要であり、経済安全保障を、企業経営においても国際戦略の中核として捉えるべきことを示されました。また今回のホルムズ危機においても備蓄や平時からの取引関係が緊急時の調達力につながったことを示されました。

終了後に会員の皆様から多くの感想が寄せられました。
「流通の各段階で合理的に在庫を圧縮し、余剰在庫を持たないことは、個々の合理的な行動が同じ方向に動いた時に、流通の目詰まりを起こすリスクも高くしてしまう。合成の誤謬を防ぐシステムが必要と感じた。」、「メディアの情報に頼るのではなく、客観的に判断出来るように情報を集める努力をして判断する。」、「経営上偏った依存をしているものがないかを見直し、そのリスクを確認して改善策を講じる。」、「サプライチェーンの隅々まで維持していくために、セキュリティも原料調達も共に考えていくことが経済安全保障である。多様性もまたサステナブルの一つ。」、「国内の状況だけでなく、海外の状況も踏まえて、現状を把握する事の大事さを感じた。」、「あらゆる状況を想定して、日常の取引関係を広範に維持することが必要。」

この後、テーブルでの歓談タイムを経て、㈱サーラコーポレーション神野吾郎代表取締役社長兼グループ代表・CEOより「地方創生~東三河フードバレー構想」と題した会員卓話をいただきました。

次に9月11日に開催されます東京電力経営技術戦略研究所での特別例会について佐藤・東京電力ホールディングス執行役員からご紹介いただきました。
会員近況報告では、佐渡・KPMGコンサルティング副代表、一色・イワタニ四国代表取締役社長、木上・NTT西日本代表取締役副社長、加藤・セガサミーホールディングス上席執行役員、金光・キューピー常務執行役員、中山・蝶理顧問、吉岡・アスクル代表取締役社長CEOからお話をいただきました。


会員近況報告後は会場の至る所で会員間歓談の輪ができ、ビジネスの話や経営課題について語り合うなど、にぎやかに談笑が続く中、次回例会での再会を約して、閉会となりました。

*細川氏経歴
1977 年(昭5 2 年)東京大学法学部を卒業後、同年通商産業省(現経済産業省)入省。山形県警本部警務部長、通商政策局米州課長、スタンフォード大学客員研究員、貿易経済協力局貿易管理部長、中部経済産業局長、日本貿易振興機構ニューヨーク・センター所長などを歴任、2006 年㈳日本鉄鋼連盟常務理事、中京大学経済学部教授、中部大学特任教授、明星大学経営学部教授。2025年12月に内閣官房参与就任。