一志会 2010年10月に発足した限定メンバーによる
新しい形のコミュニティ

「一志会」第62回の例会が開催されました。

2021.04.23 更新

斉藤 惇  氏

 一志会は、「公の精神」のもとに積極的に社会的責任を果たそうとの想いを共有する大企業経営幹部の「コミュニティー」ですが、4月21日に、コロナウイルス対策に万全を期して、第62回例会を開催しました。
 ゲストとして、プロ野球コミッショナーの斉藤惇氏をゲストにお迎えして、「野球とコロナ」と題したホットなご講話をいただきました。

 斉藤氏は、1939年熊本県生まれ。1963年慶應義塾大学卒業後、野村證券に入社、高度成長期からバブル崩壊に至るまでの35年間を証券マンとして、日本の金融界のグローバルゼーションのために奔走されました。野村證券で専務取締役、副社長などを務められた後、住友ライフ・インベストメントの社長・会長を歴任。2003年政府の金融プログラムの一環として誕生した産業再生機構の社長に就任、多くの再生支援案件を手掛け、わが国の不良債権問題解決に大きな役割を果たすとともに、その後の企業再編の動きに先鞭をつけることとなりました。2007年には東京証券取引所代表取締役社長に就任、さらに同年、市場運営会社及び自主規制法人を傘下に持つ持株会社・東京証券取引所グループの初代代表執行役社長に就任。2013年に大阪証券取引所との経営統合により日本取引所グループ取締役兼代表執行役グループCEO(~2015)を務められた、我が国の国際金融・経済分野の第一人者です。
2015年「財界賞」を受賞。2016年「旭日大綬章」受章。2017年から(一社)日本野球機構会長、日本プロフェッショナル野球組織コミッショナーに就任しています。一柳とは旧知の勉強仲間です。

 斉藤氏は、まず、今回の新型コロナ感染拡大の中、プロ野球コミッショナーとして、その対応に当初から科学的・医学的視点に立った予防防止の万全の対策を講じることを目指したうえで、プロ野球ファンの期待に応え試合開催を実現すべく、現在も努力を重ねていることを説明されました。しかし、その最善と考えられる対策は、残念ながら我が国では利害が絡む関係者の十分な理解が得られない現実を様々なエピソードを交えて話されるとともに、その体質は日本の病根を示すものでないか、との懸念を示されました。
 日本野球機構では、コロナ感染が本格化したことを受けて(新型コロナウイルス対策特別措置法成立前の)2020年3月2日にサッカーの「Jリーグ」と協働で、賀来・東北大名誉教授(東京都iCDC専門家ボード座長)をはじめとする感染症専門家等11名で構成される専門家連絡会議をスタートさせ、これまで23回開催し、「NPB新型コロナウイルス感染予防ガイドライン」(有観客開催)を作成したと説明され、「ここでは、詳細な防止対策が取りまとめられ、かつそれを裏付ける各種データ(エビデンス)も示し、これらを徹底することで一定の観客を入場させても開催可能だと提言したが、省庁間・省内の縦割り、政府と自治体との確執、現場保健所の混乱、医療界の利害対立などで、司令塔が機能せず、また国内メディアでも取り上げられることはなく、無視される結果となっている。」と述べられました。このガイドラインは、海外では注目を浴びて、CNNなどからも取材を受けて報道されており、アメリカのプロ野球はこの日本のガイドラインをベースとした対策で、試合を開催していることなど、海外との比較もしながら話されました。

質疑応答の様子

 そして、改めて、全体を見まわして、日本の政治・行政が劣化していること、経済活動では「行動の伴わない日本経営」ともいうべき状況にあるのではないか、との危惧を示されました。国民の行動も念頭に、その根底に「行き過ぎた個人主義」があるとすれば問題であり、「責任感のある自由」ということを認識すべきだ、と話を締めくくられました。
 プロスポーツの可能性や課題などの質疑では、世界の様々なプロスポーツについての知見から、丁寧に説明され、プロスポーツの窓から見た日本の現実を知ることができた、と聴講者から、好評を博しました。

 
 
 
その後、役員人事異動に伴う、三井住友銀行の松浦上席顧問と後任の小野・常務執行役員、そして日本ハムの宮階取締役と後任の片岡執行役員から、それぞれ挨拶がありました。
 続いて、浦川・パロマ取締役副社長、坂本・SMBC日興証券専務執行役員、石井・石井鐵工所専務取締役、佐藤・三菱地所パークス社長、渡邊・あいおいニッセイ同和損害保険専務執行役員、富加見・MCデータプラス執行役員副社長、松本・ソニー副社長から近況報告があり、引き続きの交流時間ではゲストを囲んでの懇談などで、大いに盛り上がりました。

会場の様子
一覧へ戻る