一志会 2010年10月に発足した限定メンバーによる
新しい形のコミュニティ

「一志会」第69回の例会が開催されました。

2022.06.09 更新

 一志会は、「公の精神」のもとに積極的に社会的責任を果たそうとの想いを共有する大企業経営幹部の「コミュニティー」です。6月7日(水)に、コロナウイルス対策に万全を期して、第69回例会を開催しました。
 ゲストとして、絹谷幸二氏(日本芸術院会員、画家(文化勲章))をお迎えし、「芸術と経営」と題したご講話をいただきました。

絹谷幸二氏

 絹谷氏は、東京芸術大学時代は入学試験から大学院まで一貫してテーマが「人体」であり、自分の信じたものをじっと見続けることができたことが今でも良かったと思うと述べられていました。
 また、富士山、風神雷神、七福神など実際の作品を見ながら、作品に込められた思いをご説明いただきました。
 さらに、動かないものを見る、特に字をじっくり見るということは非常に重要であり、武士の「武」という文字を取り上げ、「字に思えるが実は絵である。牛がいて、畑を耕す道具が含まれている。畑を耕すと戦いは止まるという見方の一方で、武器とも見て取れる」ことを説明され、”不二”と古くから言われている。「例えば水と油は別々のものと思うが、どちらも別々ではない。つまり、1つのものの部分である。大切なことは『双眼でモノを見なければならない』ことである。経済と絵画も同じ。違うものが大切」と述べられました。
 締め括りに、「絵画、芸術、宗教という心の中の世界を鍛えないといけない。そういう精神の世界に価値がつく。こういう絵を描きたいという熱い思いに、経済では説明が追いつかないような価値がつく」と芸術と経営の関係を説明され、講話を終えられました。
 歴史、芸術や時事問題を踏まえ、日本の未来を思う絹谷氏の力強いメッセージに、会員は熱心に耳を傾けていました。「目の前の仕事ばかりするな、見えない世界もあるぞ、という示唆をいただき、これからはその気持ちを大切にしていきたい」等の声が聞かれました。

質疑応答の様子

 その後、会員企業の役員人事異動に伴い、交代する阪急電鉄・嶋田社長と後任の奥田取締役、それぞれ挨拶がありました。
  さらに、梅田・住宅あんしん保証代表取締役社長、太田・電通PRコンサルティング専務執行役員COO、小野・三井住友銀行常務執行役員、石井・石井鐵工所専務取締役、加藤・セガサミーホールディングス執行役員、川崎・ハウス食品グループ本社取締役、小古井・東日本旅客鉄道総合企画本部経営企画部次長、小沼・東京証券取引所取締役専務執行役員、島・島精機製作所代表取締役社長、杉山・SENマーケティング事務所代表、清明・マネックスグループ取締役代表執行役Co-CEO兼CFOから近況報告をいただきました。

 今回も、交流時間では、ゲストを囲みより突っ込んだ意見交換や、会員間の懇談の輪がいくつもできました。にぎやかに談笑が続く中で予定の時刻を迎え、次回例会での再会を約して、閉会となりました。

*経歴

 絹谷氏は、1943年奈良県生まれ。東京芸術大学卒業。20年以上にわたり東京芸術大学で教鞭をふるい、その後大阪芸術大学教授として後進を指導。アフレスコ手法による大掛かりな壁画の制作や精力的な個展の発表を行う当代きっての洋画家。独立美術協会会員。安井賞「アンセルモ氏の肖像」、イタリア・マニュフェスト賞、美術文化振興協会賞、日本芸術大賞、毎日芸術賞、日本芸術院賞等の各賞を受賞。「銀嶺の女」は長野冬季オリンピック公式ポスター。2002年フランス造幣局の依頼でブロンズ像「千の夢をもつ男」製作(パリ造幣局美術館に展示)。2014年文化功労者を受賞。国立近代美術館他収蔵多数。2016年12月23日、大阪 梅田スカイビル タワーウェスト27階に「絹谷幸二 天空美術館」が開館。2018年9月 日中平和友好条約締結40周年を記念して、絹谷幸二絵画展「愛と祈り・豊穣の翼」を中国 北京 清華大学芸術博物館で開催。2021年11月文化勲章受章。一柳とは、数十年来のお付き合いをいただいています。

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