一志会 2010年10月に発足した限定メンバーによる
新しい形のコミュニティ

「一志会」第70回の例会が開催されました。

2022.08.26 更新

 一志会は、「公の精神」のもとに積極的に社会的責任を果たそうとの想いを共有する大企業経営幹部の「コミュニティー」です。8月25日(木)に、コロナウイルス対策に万全を期して、第70回例会を開催しました。
 ゲストとして、中須賀真一氏(東京大学大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻 教授)をお迎えし、「大学発の技術からビジネス、産業、そして教育へ ~東京大学における超小型衛星開発の事例から~」と題したご講話をいただきました。なお、中須賀氏は一柳とはお酒も一緒に飲む勉強仲間です。

中須賀真一氏

 中須賀氏は、少年時代に見たアポロ11号の月着陸や大阪万博の「月の石」で宇宙に強い興味を持ち、スタンフォード大で超小型衛星を見て人生が変わり、超小型衛星を含めた革新的宇宙システム、自律化・知能化を研究するようになったと述べられていました。
 また、生活の中に実は「宇宙開発」によるものがたくさん入っており、今の生活には不可欠で、かつ自動運転やドローンなどその利用が大きく拡大していることをご説明いただきました。
 衛星の大型化、開発の長期化やコストの増加が必要となる状況から強い閉塞感が漂うなか、東京大学で1kgの世界最小衛星を世界に先駆け打上げに成功し、「超小型衛星」の世界を拓き、数千万円からの超低コストで打上げられるようになったとお話しいただきました。
 さらに、「超小型衛星」は、宇宙開発プロセスの実践的教育・工学教育と学生によるマネジメントという教育的意義があり、特に学生のリスク管理を含むプロジェクトマネジメントや失敗から学ぶプロセスは貴重な経験であると述べられました。そして、実験と理論の両方を通じて学生を育て、その教え子からは宇宙工学のベンチャーが何人も出てきており、そのビジネスの可能性の広がりと将来性をご紹介いただきました。
 締め括りに、問題解決力を鍛えることが大切で、人生は問題解決の連続であり、何としてでも解決しようとする姿勢、強烈なモチベーションが必要とお話しされ、「のめりこめるもの」「考え続ける」「成し遂げて、またやりたくなる」「ワクワクする」環境は宇宙開発だけでなく、教育にも必要であるとされ、講話を終えられました。
 「超小型衛星」開発を通じて、日本の未来を思う中須賀氏の力強いメッセージに、会員は熱心に耳を傾けていました。

会場全体の様子

 その後、会員企業の役員人事異動に伴い、蝶理・中山上席執行役員、日本政策投資銀行・杉元代表取締役副社長と後任の原田常務執行役員、再入会されたハーフ・センチュリー・モア・松浦代表取締役副社長の挨拶がありました。
 さらに、木上・西日本電信電話執行役員、片岡・日本ハム取締役、富加見・MCデータプラスヴァイスプレジデント、赤尾・資生堂ジャパンチーフセールスケイパビリティオフィサー、西本・広栄化学代表取締役社長、山田・あずさ監査法人専務理事、中野・日本航空執行役員、竹内・BEENOS取締役、神野・サーラコーポレーション代表取締役社長、馬場・住友ファーマ取締役から近況報告をいただきました。

 今回も、交流時間では、ゲストを囲みより突っ込んだ意見交換や、会員間の懇談の輪がいくつもできました。にぎやかに談笑が続く中で予定の時刻を迎え、次回例会での再会を約して、閉会となりました。

*経歴
 中須賀氏は、1961年大阪府出身。1983年東京大学工学部卒、1988年東京大学博士課程修了、工学博士取得。同年、日本アイ・ビー・エム東京基礎研究所入社。1990年から東京大学講師、助教授、アメリカ・メリーランド大学及びスタンフォード大学客員研究員を経て、2004年航空宇宙工学専攻教授。超小型人工衛星の設計・製作・運用、宇宙システムの知能化・自律化・革新的宇宙システム、宇宙機の誘導制御等に関する研究・教育に従事。日本航空宇宙学会、SISE、IAA等会員。IFAC航空宇宙部会長。2010-2014年、内閣府FIRSTプログラムによる「ほどよし超小型衛星プロジェクト」のリーダー。2012年より内閣府宇宙政策委員会委員。超小型衛星分野での世界的権威。

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