一志会 2010年10月に発足した限定メンバーによる
新しい形のコミュニティ

「一志会」第72回の例会が開催されました。

2022.12.05 更新

北村滋氏

 一志会は、「公の精神」のもとに積極的に社会的責任を果たそうとの想いを共有する大企業経営幹部の「コミュニティー」です。11月30日(水)に、コロナウイルス対策に万全を期して、第72回例会を開催しました。
 ゲストとして、北村 滋氏(北村エコノミックセキュリティ合同会社 代表、前国家安全保障局長)をお迎えし、「経済安全保障とは何か」と題したご講話をいただきました。
 北村氏は、経済安全保障分野の第一人者であり、一柳の長年の友人でもあります。

 北村氏は、安倍内閣時代に注力していた経済安全保障にかかる法律である「経済安全保障推進法」がついに2022年5月に成立したことに触れ、その法律を構成する4本柱の「サプライチェーン」、「基幹インフラの安定供給」、「先端技術の官民協力」、「特許非公開」のそれぞれの重要性について、時には脱線して色々なエピソードをご披露いただきながらお話しいただきました。
 また、国際経済の構造が変質している環境では、産業政策は国際経済の構造の変化に合わせて立てていくことが必要であるとし、半導体を例に詳しくご説明いただきました。
 さらに、現代の戦争は、5つの戦域(陸・海・空・宇宙・サイバー)にわたり行われ、「技術」が戦域を形成するように変化しており、特にサイバーが神経のように張りめぐらされ、「技術」の優劣が戦争の勝敗を決すると説明いただきました。現在は「データ」が重要でその「技術」の覇権争いをしており、「データ」の戦略的意義を説かれ、その中で自由と民主主義を守り抜くため、外からの現状変更しようという脅威に対して日本はどう生き残っていくのか孫子の言葉を引用されて、向かうべき方向性のヒントをいたただきました。

 参加者からは、『日本のネットワークの強化をどう図るべきか』などの質問があり、北村氏は現在の世界情勢を踏まえながら、丁寧に答えておられました。その冷静な分析に、参加者はぐっと聞き入っていました。
 締め括りに、参加者に向け『様々な国々の動きを把握していくことが重要である』とのメッセージを送られました。

 その後、会員企業の役員人事異動に伴う赤木・JFEスチール常務執行役員の挨拶、再入会の石井・国際自動車代表取締役、新会員の鈴木・鈴茂器工代表取締役社長の挨拶がありました。
 さらに、満倉・ANAホールディングス常勤監査役、柳生・プチファーマシスト代表取締役、吉田・ミスミグループ本社常務執行役員、坂本・パラマウントベッド常務取締役、澤井・ダイキン工業常務執行役員、古川・デロイトトーマツTMAC代表取締役社長、眞鍋・コスモエコパワー常務取締役、吉岡・アスクル代表取締役社長、一色・岩谷産業常務執行役員から近況報告をいただきました。

 今回も、交流時間では、ゲストを囲んでの意見交換や、会員間の懇談の輪がいくつもできました。にぎやかに談笑が続く中で予定の時刻を迎え、次回例会での再会を約して、閉会となりました。

*経歴

北村氏は、1956年東京都出身。東京大学法学部を経て1980年警察庁に入庁。1983年フランス国立行政学院(ENA)に留学。
1989年に警視庁本富士警察署長、在仏大使館一等書記官、警備局外事情報部外事課長などを歴任。
2006年内閣総理大臣秘書官(第1次安倍政権)、2011年野田内閣で内閣情報官に就任し、第2、3、4次安倍政権、菅政権で留任。特定秘密保護法の策定・施行。
2019年国家安全保障局長・内閣特別顧問に就任。同局経済班を発足させ 経済安全保障政策を推進。
2020年米国政府から国防総省特別功労章を受章、2021年退官、2022年北村エコノミックセキュリティ創業。

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