一志会 2010年10月に発足した限定メンバーによる
新しい形のコミュニティ

「一志会」第77回の例会が開催されました。

2023.10.20 更新

【坪田 一男氏】

 一志会は、「公の精神」のもとに積極的に社会的責任を果たそうとの想いを共有する大企業経営幹部の「コミュニティー」です。10月18日(水)に、第77回例会を開催しました。ゲストとして、坪田一男氏(医学博士、㈱坪田ラボ社長、慶應義塾第大学名誉教授)をお迎えし、「飛び出す人だけが成功する時代 GO OUT」と題したご講話をいただきました。坪田氏は、一柳が異才、異色、異端な人と評する“ごきげんな”一流塾卒塾生です。

 坪田氏は、まず日本の医薬品・医療機器のほとんどが輸入品で、輸入超過額が年間5兆円を超えるという外貨流出の現実、また日本の大学は研究の成果に対して実用化がほとんどされていないとの実態を説明され、「飛び出す(GO OUT)人がいないと課題解決ができない」、そして、「教育・研究・臨床」という自分のコンフォートゾーンのすべてをやった後、「イノベーション」を加え、「外貨を稼ぐ」と坪田ラボを設立した、と自らのGO OUTに至った経緯を説明されました。
 坪田ラボでは、近視を予防するバイオレットメガネを開発したこと、更には外貨問題解決のため慶應医学部発のスタートアップを100社創るとの目標、そして実際にロールモデルとして坪田ラボを上場させたことを、映像などを用いつつ話されました。
 また、坪田ラボの競争優位性として、サイエンスのレベルの高さなどの大学的な発想の優位性だけでなく、早期にマネタイズするビジネスモデル、強力な営業チームを有するなどのコマーシャリゼーションの優位性を述べられました。
 次いで、「GO OUTのT型戦略」について、コンフォートゾーン(自分の専門)を縦線に、自分の枠から飛び出す(GO OUT)を横線とするT字型の図を用いて話されました。
 そして、最近の活動として、バイオレットライトにより脳の血流が上昇することを発見し、うつ、認知症などへの臨床研究を進めていること、更にはGO OUTできる脳を作る「GOブレインプロジェクト」の計画も説明されました。加えて、音楽のパワーを使うこと、自らトランペットに挑戦したことも披露されました。
 最後に、「飛び出す人だけが成功する時代、多様性を大きく、T型人間を目指してGO OUTしよう、光と音楽で脳を活性化してGO OUTブレインを作ろう、飛び出す人がいないと日本の課題解決はできない!」と参加者を力強く鼓舞し、ご講話を締めくくりました。

 参加者は、坪田氏の明解な説明と、明るく力のこもった語り口に、所々思わず頷きながら、聞き入っていました。

 質疑応答では、T型戦略について、「まずコンフォートゾーンで好きなことをとことんやることにより縦軸を作り、それからGO OUTする」と、また、「若い人はこじんまりとしてとんがっていないのでは」との質問には、「若い人もイノベーティブな人の生涯年収を示すと刺激を受ける。また、大学の力をもっと使ってください、もったいない」と回答され、参加者はなるほどと納得していました。

 その後、会員企業の人事異動などに伴う新会員の三村・キッコーマン常務執行役員、山本・ANA総合研究所取締役副社長と前任の満倉・ANAホールディングス常勤監査役からそれぞれ挨拶がありました。
 さらに、堀内・イーサポートリンク代表取締役会長兼CEO、寺田・アート引越センター代表取締役社長、濱千代・キューピー取締役上席執行役員、黒田・東横イン取締役代表執行役社長、品川・レシップホールディングス取締役執行役員管理本部長、石井・国際自動車代表取締役社長、一色・岩谷産業常務執行役員お客様サービス本部長、澤井・ダイキン工業常務執行役員東京支社長、鈴木・鈴茂器工代表取締役社長から近況報告をいただきました。

 今回も、交流時間では、ゲストを囲んでの意見交換や、会員間の懇談の輪がいくつもできました。にぎやかに談笑が続く中で予定の時刻を迎え、次回例会での再会を約して、閉会となりました。

*経歴

 坪田氏は、医学博士(眼科学)、株式会社坪田ラボ代表取締役社長CEO、慶應義塾大学名誉教授。1980年に慶應義塾大学医学部卒業後、1985年米国ハーバード大学留学を経て1998年東京歯科大学教授・市川総合病院長、2004年に慶應義塾大学医学部教授、2021年には慶應義塾大学名誉教授に就任されました。
また、2012年に株式会社坪田ラボを設立し、2022年に東証グロース市場に上場しました。そして2023年、日本スタートアップ大賞2023で審査委員会特別賞を受賞されました。

一覧へ戻る