株式会社 一柳アソシエイツ

一柳良雄の志         
【正 確】より【明 確】

 日本が、戦後の荒廃の中を立ち上がってからもう60年余りが過ぎた。日本の高度成長期を支えてきた戦後体制も、還暦を迎えたことになる。これらの制度や組織は、期待以上の役割を果たしてきたことは事実。しかし、パラダイムの変化が進行する今日、成功体験をもたらした戦後体制は、日本の経済社会の活力を削ぎ落とす方向で副作用を起こしている。
 時代は確実に変わっている。この先行き不透明な時代にふさわしい国づくりの為の構造改革は、正に今、実行されなければならないと思う。
 政治家には、国の方向性を示すという大きな仕事をしてもらいたいし、我々国民も、官に頼るのではなく、自立し、集団依存ではなく、自分自身の生き方、価値観をもって、アクションを起こしていくべきだと思う。混迷の時代を果敢にチャレンジする個人個人の姿、これがこれからの時代のあるべき姿なのだろう。
 とはいっても“横を見てわが振りを同じにして”という行動から抜け出すのは簡単なことではない。その昔、慎重に慎重を重ね100%に近い正確さを求めて行動を起こしても、取り返しのつかないことはそれほどなかったように思う。しかしこれからは違う。今は一番手が総取りをする時代になってきている。横を見て確認していたら、全てを失うことにもなりかねない。
 このような時代には、【正 確】であることより、【明 確】であることが重要である。『何がわかっていて、何が分かっていないかが分かる』ということが明確ということ。100%近くのことをわからなければ踏み出さない、というのではなく、60~70%も分かれば、まず走ってみる。そして、走りながら修正していくという果敢な行動スタイルが必要となるのだ。そして、そのようなカルチャーを身に着けた、個人や企業が、次代をけん引していくことになるだろう。
 「いやあ、そうはいっても難しいよ」という人は多い。そんなことはないと私は思う。身近に小さなモデルケースを一つ、試しに作ってみてはどうだろう。そうすれば、そこで、うまくいった点、うまくいかなかった点を観察、必要があれば改善し、結果の良い方向の動きを大きくしていくのだ。
 日本の社会は、周りが動かないと動かない、でも周りが動き始めると、雪崩を打って動き始めるところがある。だからこそ、最初にその小さな動きを作り出す人になりたいではないか。最初にきれいで大きすぎる絵を目標として掲げると、なかなか第一歩が踏み出せない。自分に近い範囲で小さなモデルを動かしてみることならできるはず。どんな改革も、最初は誰かが始めた小さな動きに過ぎないのだから。

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